2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25840054
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
曽和 義幸 法政大学, 生命科学部, 准教授 (10519440)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子モーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,超分子回転ナノマシンである細菌べん毛モーターがみせる様々な回転制御機構を分子レベルで解明することを目的としている.最も分子レベルで研究が進んでいる大腸菌・サルモネラ菌のべん毛モーターにおいては,リン酸化された細胞内情報伝達タンパク質CheYのモーターへの結合解離によって時計回り・反時計回りと回転方向の切り替えをおこす.一方,海洋ビブリオ菌は極べん毛と側べん毛の2種類のべん毛をもつが,1種類のCheY結合によって極べん毛では大腸菌・サルモネラ菌と同様に方向変換,側べん毛では速度低下がおこる.そこで,これまで解析があまり進んでいないビブリオ菌側べん毛モーター速度制御機構を解析するために,回転計測系が確立している大腸菌内においてビブリオ菌側べん毛モーターの再構成させることを試みた.具体的には,ビブリオ菌側べん毛モーターの構造構築・トルク発生に関わるタンパク質群を様々に改変をしつつ,大腸菌モーター欠損株で発現させた.現在のところモーター機能の再現までには至っていないが,べん毛構造の構築までは確認できている.次に,大腸菌における方向変換制御機構を研究するために,CheY結合を必要としないで自発的に回転方向変換をおこすモーター系の構築を試みた.具体的には,モーター方向変換に関わる回転子タンパク質FliGの変異体を,ある割合でモーターに組み込むことによって,ハイブリッド回転子を作成してモーター方向制御機構を解析することにした.変異FliGの発現量を制御することで,任意の方向変換頻度を生み出すモーターを作成する条件を見出すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に作成したハイブリッド回転子について,機能解析からほぼ作成条件を確立できたと考えているが,蛍光観察による直接証明が必要であった.しかし,機器故障等の要因により蛍光観察以外の実験を優先させたため,この点についてやや遅れていると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
緑色蛍光タンパク質(GFP)を融合した回転子タンパク質のモーター1個当たりの個数を見積もり,ハイブリッド回転子が期待通り作成できていることを確認し,モーター回転速度,回転方向の同時観察をおこなう.
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Causes of Carryover |
平成26年度に,蛍光標識したべん毛モーター関連分子群を観察する実験もおこなう予定であったが,高感度カメラが故障したことによる機器修理,装置の復旧・調整・基礎データの取得等に時間がかかり,その期間は一部計画を変更して既存の装置を用いた機能解析の実験を重点的に進めたため,次年度使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
蛍光観察に関する試料作成,実験条件の検討等に必要となる経費に未使用額を当てる予定である.
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