2013 Fiscal Year Research-status Report
環境DNA分析によるシクリッド魚類群集の多様性把握
Project/Area Number |
25840144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
丸山 敦 龍谷大学, 理工学部, 講師 (70368033)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境DNA / マラウイ / 国際情報交換 |
Research Abstract |
シクリッド魚類由来の環境DNAを増幅するプライマーを開発するためには、対象水域に生息する魚類のDNA配列情報が欠かせない。そこで、2013年6月から7月にかけて、マラウイ湖国立公園内において、魚類全般を網羅的に採集・購入した。111種287個体(うちシクリッド魚類は103種267個体)からDNA抽出を行った上で、遺伝子資源管理当局の許可を得て日本国内に持ち帰った。全DNAサンプルについて、ミトコンドリアDNAのD-Loop領域をPCR増幅し、シーケンスを行った。また、核DNAのITS領域をシーケンスするための準備も進めている。 環境DNAサンプルの収集については、マラウイ湖国立公園内チュンビウエスト島をモデルフィールドとして、効率的な環境DNA回収のための採水法を模索する調査を行った。具体的には、採水水深間の回収率の比較、分解速度の把握、環境DNA濃度の日周変化の把握などである。その上で、魚類の多様性が異なる湖内7地点に赴き、採水調査を行った。残念ながら、他水域で有効だったGF/Fフィルターがマラウイ湖水からの環境DNA回収に不向きであったことが分かり、最適フィルターの模索と一部調査の再実施を計画している。 環境DNA法によって得られる群集組成に関する情報は、目視調査の結果と対照して、その確度や精度を検証する計画である。環境DNAの採取を行っている地点には、コドラートを常時設置しており、潜水士による目視調査を複数回実施し、種ごとの体長組成を定期的に把握している。また、シクリッド魚類群集のバイオマス組成を潜水調査によって簡便に把握する上で欠かせない体長と体重の関係については、主要23種を対象に回帰分析を行った結果をJApplIchthyol誌に投稿中である。この回帰式と定期目視調査により、バイオマスベースでのシクリッド魚類群集組成情報が蓄積されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
入手したシクリッド魚類のD-Loop領域(ミトコンドリアDNA)の種間変異は想定以上に乏しく、特定分類群に由来する環境DNAのみをPCR増幅するプライマーの開発は困難であることが発覚した。このようなケースは、これまでの環境DNA研究の経験で初めてのことであり、別の領域や手法によりアプローチする必要が出てきた。 さらに、マラウイ湖水の懸濁物質のサイズ組成が他水域と異なるためか、他水域ではもっとも環境DNA回収率が安定していたGF/Fフィルターによる環境DNA回収が想定通りには出来なかった。このことから、最適フィルターの再検証を行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に加えて、上記の困難に対処するための作業を行う。 D-Loop領域の種内変異が乏しくて種特異的プライマーの開発が困難である問題については、核DNAのITS領域のシーケンスも行い、種間変異が大きい場所を探すための選択肢を広げる。かつ、それでも種特異的プライマーによる種識別が困難であることも予想されることから、次世代シーケンサーを用いた多様性評価についても模索を始めている。 GF/Fフィルターによる環境DNAの回収がうまくいかなかった問題に対しては、よりメッシュサイズの小さい濾紙(ニトロセルロースメンブレンフィルター0.45μm)による回収率がGF/Fのそれを上回ることが既に分かってきた。そこで、メッシュサイズの異なる複数種類のフィルターを用いて回収率の比較を行った上で、回収効率が最も高いフィルターに切り替えてサンプリングをやり直す手筈を整えたところである。また、上述の核DNAのITS領域はミトコンドリアDNAのD-Loopよりも50~100倍多いコピーが環境DNAとして存在していることが研究協力者からの情報として得られており、この領域を対象とすることも回収率の向上に貢献すると期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部の物品において見積額と購入価格の少額の差が発生したため。 当初より予定している分析の消耗品費用に充てる。
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Research Products
(8 results)