2014 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥耐性植物の育種に向けたアブシジン酸シグナル伝達因子の立体構造に基づく分子改変
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25850066
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
澤野 頼子 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (00571077)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 植物ホルモン / アブシジン酸 / 乾燥ストレス耐性 / 分子改変 / 相互作用解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物には、乾燥等の外的ストレスに対してある程度、適応し耐える能力が備わっており、乾燥ストレスに対する耐性の獲得機構には、植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)が関わるシグナル伝達系が主要な役割を担っている。 本研究は、ABAシグナル伝達系の制御タンパク質の構造基盤の解明およびそれに立脚した分子改変により、耐乾燥性に優れた植物の開発の基盤を構築することを目指した。ABAシグナル伝達系の主要な制御タンパク質であるシロイヌナズナのABA受容体PYR/PYL(5種類)、タンパク質リン酸化酵素SnRK2(3種類)、タンパク質脱リン酸化酵素PP2C(4種類)を解析対象とし、H25年度は、各タンパク質の大腸菌発現系を確立し、精製を行った後、GSTタグを用いたプルダウンアッセイにより、二者複合体あるいは三者複合体を形成する組み合わせを探索した。複合体形成が確認された組み合わせについて、タンパク質複合体を調製し、結晶化実験を行った。数種の組み合わせの複合体において結晶が得られた。 H26年度は、これらの結晶化条件の最適化や発現コンストラクトの改良により良質な結晶の獲得を目指したが、立体構造解析を行うのに十分な高分解能の回折データを与える結晶は得られなかった。また、複合体形成が確認された組み合わせの各構成タンパク質について、類似タンパク質の既知立体構造との比較からタンパク質間相互作用や酵素活性に重要と思われるアミノ酸残基に変異を導入した変異体を作成し、相互作用解析や酵素活性測定により、相互作用や活性制御に重要なアミノ酸残基の特定を進めた。本研究により得られた構造基盤情報は、植物体の耐乾燥性の向上に寄与するような機能向上への分子改変情報として利用することができると期待される。
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