2013 Fiscal Year Research-status Report
表層崩壊の危険性を評価する上で土壌水分の空間的不均一性は考慮する必要があるのか?
Project/Area Number |
25850109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
篠原 慶規 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10615446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表層崩壊 / 災害 / 水文過程 |
Research Abstract |
近年,気候変動に伴う降雨の増加などに起因して,災害の増加,大規模化などが懸念されている。日本における災害の代表的な発生形態に森林斜面の表層崩壊がある。森林斜面の表層崩壊発生を評価する際,森林によって生み出される土壌水分の空間的不均一性は,その重要性指摘されつつあるものの,実態は明らかになっておらず,ほとんど考慮されてこなかった。そのことが,森林における表層崩壊を的確に予測できない1つの要因となっている可能性がある。そこで本研究では,詳細な現地計測に基づいて,土壌水分の空間的不均一性の実態と不均一性をもたらたす要因を明らかにし,土壌水分の空間的不均一性が表層崩壊の発生予測に与える影響を明らかにすることを目的としている. 以上を踏まえ,今年度は,下記の4点を行った。1.土壌水分の空間的ばらつきを生み出す要因となる樹冠通過雨,樹幹流について,研究代表者自身で行った計測結果を取りまとめた。2.九州大学農学部附属福岡演習林内の常緑広葉樹林において,3 m×6 mの試験プロットを設定し,1 m毎の格子点28地点の3深度(10 cm,30 cm,50 cm)に土壌水分計を設置し,データロガーに接続することで,5分単位での土壌水分の連続計測を開始した。3.試験プロット付近の土壌を用いて,土壌水分計のキャリブレーション(出力値と実際の土壌水分の整合性の確認)を行った。4.次年度以降,土壌染色実験を行う準備として,散水装置のキャリブレーションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,現地計測とシミュレーションの2つの過程に大別され,現地計測は,土壌水分計による計測と,土壌染色実験による土壌水浸透過程の把握の2つを主に行う予定である。そのうち,1年目は現地計測を行う予定なっていた。土壌水分計による計測は,当初は,モウソウチク林に行う予定になっていたが,大量の根系とレキにより,土壌水分計の設置が難しかったため,常緑広葉樹林において,土壌水分計による計測を行うこととした。最終的には,常緑樹林内において,土壌水分計測システムを構築し,計測を開始することができた。また,土壌水浸透過程の把握では,土壌染色実験に用いる散水装置のキャリブレーションを行うことが出来たため,次年度以降の用意が整った。上記の計測の他に,シミュレーションの際,入力データとして必要になるであろう樹冠通過雨量,樹幹流量の計測結果を一部取りまとめることができた。このように,一部,計画の変更などはあったものの,概ね順調に計画を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている土壌水分の計測を継続すると共に,散水装置による土壌染色実験を順次行う予定である。次年度以降,具体的な計測データが取得できるので,学会発表や学外の研究者の訪問なども行うことで,学内外の研究者と積極的に意見交換を行いながら計画の推進していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況に合わせて支出を行っており,今年度に計画していた実験の一部を次年度以降に行う予定にしたことが主な理由である。 研究に必要な設備な物品は概ね購入しているが,計測機器が故障した場合は,追加で購入する予定である。それ以外では,次年度は,計測の継続に必要な消耗品費,研究発表のための旅費,土壌染色実験の際の謝金,論文発表のための経費に主に使用する予定である。
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