2014 Fiscal Year Research-status Report
粘液胞子虫クドア属における種内変異解析のための遺伝子マーカーの探索および性状解析
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25850139
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
米加田 徹 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 研究員 (40597944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クドア・セプテンプンクタータ / 抗体 / 遺伝子解析 / 魚病 |
Outline of Annual Research Achievements |
クドアに対するモノクローナル抗体作製において、マウスに抗原として接種するためにクドア感染ヒラメより不連続密度勾配遠心法によりクドア胞子を精製した。クドア胞子懸濁液をアジュバントと混合し、マウスに免疫後、腸骨リンパ節法により、クドアに対するモノクローナル抗体を2種類作製した。作製したモノクローナル抗体を用い、免疫組織化学染色によりクドア感染ヒラメにおけるクドアの検出を試みたところ、これらの抗体はクドアのシスト内に存在するタンパク質あるいはシストから分泌されているタンパク質を認識した。また、分泌性のタンパク質を認識するモノクローナル抗体による免疫共沈降により結合タンパク質を得た。 クドア・セプテンプンクタータはこれまで同一種内においてその遺伝的多様性は明らかとされていない。そこで、クドア株間での遺伝子型の比較を行うために約2000塩基対のITS領域の遺伝子配列を解析したところ、同一株内においてもすべてのITS領域が同一の遺伝子配列になっていないため株間の比較を行うには至らなかった。一方、国内外の株におけるクドアのcytochrome b遺伝子およびNADH dehydrogenase subunit 1遺伝子を含むゲノム領域の1932塩基対の遺伝子配列を解析した結果、国内株および海外株にそれぞれ特徴的な遺伝子配列が認められた。このように、国内外の株を遺伝子情報から識別できる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通りモノクローナル抗体が作製でき、免疫組織化学染色によりクドアを検出できた。またクドア株間での遺伝的多様性を解析するために新たに選択した遺伝子領域において、株間での差異を認めたことから、本課題の重要な目的の一つを前倒しで達成することができた。以上のことから計画以上に進展したと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
クドアの感染環に関してはこれまで全く明らかとされていない。そこで、本年度は、クドアと交互宿主との相互作用について、実際に生体を用いて解析を実施する。また、計画書の通り、クドア胞子の魚体内の動態についてもさらに調査を行う。
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