2016 Fiscal Year Annual Research Report
Economic investigation on the function of social network and the heterogeneity in rural society of Turkey
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25850158
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
草処 基 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (90630145)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トルコ / 社会的ネットワーク / 移住 / 相対的貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリア内乱を契機とした移民の流入やクーデターの未遂など、トルコ国内の情勢不安が解消されず、本年度に延期していたトルコ・アダナ県での農村調査を中止せざるをえなかった。トルコでの調査の代わりに、本年度は本研究課題と関連付けながら、ウズベキスタンでの農村調査とドイツのトルコ人移民を対象とした調査を行った。 ウズベキスタンでは、独立後の集団農場の解散により成立した大規模農家層(フェルメル)と、フェルメルの下で労働者として働きつつ小規模農地を経営するデフカンとの労働契約関係とネットワークに関する聴き取りを行った。デフカンへの労賃は、固定賃金のみではなく、フェルメルが所有する農地の一部を無料で貸出したり、収穫物の一定割合を支払うなどの事例が観察された。労働契約は、デフカンの最低生活水準やインセンティブ条件を満たすために工夫がなされ多様性をもっていることが明らかになった。また、技術が高く信頼できる労働者を確保するため、フェルメルはネットワークを利用し労働者を探索し、同じ労働者を長期に雇用し続ける傾向があることを確認した。 ドイツの調査においては、トルコ移民に対し、移住後のネットワーク形成における移民組合の役割について聴き取りを行った。ドイツには非常に多くのトルコ人移民組合が存在し、トルコ移民の多くは移民組合に参加しネットワークを形成していた。しかし、移民組合ごとに活動内容や政治的性格が大きく異なるため、所属する移民組合の性質が、ドイツ人社会とのネットワーク形成に強く影響を与える可能性が示唆された。 これらの成果は、イスラム社会におけるネットワークの役割についての比較研究、トルコ人社会におけるネットワーク形成の特質に関する研究につながっていくことが期待される。 本研究課題で行ったトルコでの農村調査のデータをもとに分析したこれまでの成果をまとめ、リサーチレターとして学術誌に掲載した。
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Research Products
(3 results)