2015 Fiscal Year Annual Research Report
水稲乾田直播栽培における振動ローラ加速度応答に基づく圃場透水性制御技術
Project/Area Number |
25850175
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
深見 公一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・水田作研究領域, 主任研究員 (50399424)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水稲乾田直播 / 振動ローラ / 振動加速度 / 漏水防止 / 減水深 / 土壌構造解析 / 透水係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
稲-麦,大豆-麦の2年4作体系が展開される九州地域において,より低コストかつ省力的な栽培方法である水稲乾田直播栽培を導入・拡大させるためには,水稲作付時における漏水の防止が必須の課題となっている。そこで本研究では,一般的に普及している出力20~40PS(14.7~29.4kW)のトラクタで利用可能な振動ローラによる漏水防止を目的とした鎮圧作業の効率化と最適化を図るため,鎮圧荷重,鎮圧回数,作業速度および土壌条件等が,振動加速度応答,土壌物理性,土壌構造および作物の生育・収量等に及ぼす影響を解析した。その結果,振動ローラ(直径:40cm,幅:150cm,重量:350kg)の瞬間的な鎮圧荷重は750~3125kg(ローラ振動:13~18Hz,PTO軸回転数:780~1080rpm)に達し,塑性限界(土を練り,すりガラス上で直径3mmのひも状にできる時の土壌水分状態)以上の高水分条件の灰色低地土圃場における鎮圧により,作業速度1.0~2.0km/hの範囲で減水深を2cm/日以内に収めることができ,高い漏水防止効果が得られることがわかった。ローラ振動加速度応答の主要周波数成分の周期はPTO軸の回転周期と一致し,振幅は日減水深の減少に伴って有意に増加した。また,日減水深が小さい土壌は,大きい土壌に比べ空隙が潰れた(扁平な)形状を示し,全空隙率が少なく,逆に小さな空隙の割合が多くなることがX線CT画像に基づく土壌構造解析により確認できた。さらに,鎮圧作業時に塑性限界程度に土壌が湿っていれば,1 回鎮圧で漏水防止や苗立・収量向上効果等を得られることが示された。以上より,鎮圧作業に適切な土壌条件と振動ローラ加速度応答と土壌構造変化の密接な関係が明らかになった。
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