2013 Fiscal Year Research-status Report
犬の血栓症におけるADAMTS13およびVWFを中心とした病態追究
Project/Area Number |
25850213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸山 治彦 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (60434106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ADAMTS13 / 犬 / 血栓症 / VWF |
Research Abstract |
本年度は、犬における血漿中のADAMTS13抗原量を測定するためのELISAの構築を目的として、抗イヌADAMTS13ラットモノクローナル抗体の作製を実施した。 犬ADAMTS13遺伝子配列情報を基に大腸菌により組換え蛋白を得た。それをラットに3回免疫接種した後、腸骨リンパ節を採取した。リンパ節から得たリンパ球とマウスミエローマ細胞であるP3X63-Ag8.653とをポリエチレングリコールを用いた常法により細胞融合した。HAT培地により融合細胞と非融合細胞の選択を行った。抗体産生細胞のスクリーニングには免疫に使用した組換え蛋白ならびに犬血漿を抗原としたELISA法を用い、両者に陽性反応を示す細胞を希釈法にてクローニングした。その際のクローニングは2回実施した。その結果、いくつかのクローンが得られたが、その中から1つのクローンを選択し無血清培地に馴化した。無血清培地に馴化したクローンから得られた抗体においても、免疫に使用した犬ADAMTS13組換え蛋白ならびに犬血漿を抗原とするELISAで陽性反応が認められた。また、Hela細胞を用いて発現させた完全長の犬組換えADAMTS13蛋白を用いたウェスタンブロットにおいても目的の分子量で反応を示し、陰性対象であるLacZ蛋白には未反応であったたことから、本抗体は犬ADAMTS13を認識していることが確認された。また、本抗体のサブタイプはIgG 2bであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、抗イヌADAMTS13ラットモノクローナル抗体および抗ADAMTS13自己抗体検出ELISA系の確立を計画していた。これまでの経験上、当初はモノクローナル抗体の作製は順調に進まない可能性も予想されていた。しかし、モノクローナル抗体の作製は予想以上に早く完了したことから、その点においては非常に順調に進展していると言える。 一方、抗ADAMTS13自己抗体検出系の確立においては、その抗原を安定的に得るためのイヌADAMTS13組換えタンパクの安定発現株の樹立には至らなかった。しかし、一過性発現系は既に構築出来ており、イヌADAMTS13蛋白を得ることは可能であった。 以上より本年度は全体としては概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、前年度に作製した抗イヌADAMTS13モノクローナル抗体を使用した犬における血漿ADAMTS13抗原量測定用サンドイッチELISA系の構築に取りかかる。その際、検出抗体には市販の抗ヒトADAMTS13ポリクローナル抗体を用いる予定である。しかし、抗ヒト抗体であることから、イヌとの交差性を有していない可能性がある。その場合には、大腸菌によるイヌADAMTS13組換え蛋白を作出し、それを抗原としてウサギに免疫接種し、抗イヌADAMTS13ポリクローナル抗体を得ることで問題を解決する予定である。 また、ADAMTS13の基質であるVWFの血中抗原量および超高分子マルチマー構造の解析を、血栓好発疾患に罹患した臨床例で実施する。その際、血中ADAMTS13活性も測定することで、ADAMTS13活性とVWFの病態形成への関与を追究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モノクローナル抗体の作製が予想以上に順調に進展したため、融合細胞の培養に用いる培地の使用量が少なく済んだ。そのため、培地購入金額が予想より少額となり、14,485円の未使用金が生じた。 平成26年度はADAMTS13抗原測定ELISAおよびVWFのマルチマー解析を行う。それらを実施するにあたり抗体や発色剤など種々の実験試薬が必要となる。そのため、平成25年度の未使用金ならびに平成26年度に請求する助成金をそれら試薬類の購入に充てる計画である。
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