2014 Fiscal Year Research-status Report
犬の血栓症におけるADAMTS13およびVWFを中心とした病態追究
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25850213
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸山 治彦 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (60434106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ADAMTS13 / 犬 / 血栓症 / VWF |
Outline of Annual Research Achievements |
犬において疾患時の血中ADAMTS13活性値に関する報告は非常に少ない。ADAMTS13は肝臓の星細胞で産生されることから肝疾患で変動する可能性がある。そこで、H26年度は肝細胞腫瘍もしくは門脈体循環シャント(PSS)に罹患した犬における血中ADAMTS13活性について研究を実施した。また、H25年度に引き続いて抗イヌADAMTS13モノクローナル抗体の作製も行った。 肝細胞腫瘍11例およびPSS7例を対象に血中ADAMTS13活性の測定を実施した。対照として健康犬を供し、血中ADAMTS13活性測定にはヒトADAMTS13活性測定ELISAキットを用いた。両群において治療のための手術を実施し、術前、ならびに術後1, 3, 7, 14日目で血中ADAMTS13活性の測定を行った。その結果、血中ADAMTS13活性は、術前において正常群とPSS群との間には有意な差は認めなかったが、肝細胞腫瘍群では有意に高値を示した。術後のADAMTS13活性は、肝細胞腫瘍群では術前と比較して14日目まで低値を示したが、PSS群では有意な変動は認められなかった。 抗イヌADAMTS13モノクローナル抗体の作製であるが、目的タンパクを認識する抗体を産生するハイブリドーマ株を得るために、ELISA法によるスクリーニングを実施し、免疫時に抗原として使用した大腸菌リコンビナントタンパクならびにイヌ血漿中のADAMTS13抗原を共に認識する株を選定した。それら株から得られた抗体が認識しているタンパクが確実にイヌADAMTS13であるかをウエスタンブロットにて検討したところ、目的とするADAMTS13の分子量よりも小さいタンパクに反応を示した。よって、得られた抗体はADAMTS13を認識していない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H26年度は、当初計画ではH27年度に実施するはずであった疾患犬での血中ADAMTS13活性の変動に関する検討を前倒しで実施することができた。その点については当初の計画以上の進展と言える。しかし、抗イヌADAMTS13モノクローナル抗体の作製に関しては、抗体を作製したものの、それがイヌADAMTS13を認識していない可能性が示唆されたことから、再度ハイブリドーマのスクリーニングを実施する必要が生じた。よって、現在までの研究達成度はやや遅れていると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、肝細胞腫瘍のみならず腫瘍性疾患全体での血中ADAMTS13活性を測定し、腫瘍に随伴して生じる血栓症の病態解明を試みる。また、抗イヌADAMTS13モノクローナル抗体作製に関しては、凍結保存している抗体産生ハイブリドーマを再培養し、ELISAによるスクリーニングのやり直しを実施する。その際、ELISAの固相化抗原には大腸菌による組換えADAMTS13蛋白だけではなく哺乳動物細胞により作出したADAMTS13抗原を利用することでスクリーニング確度を改善し、適切なハイブリドーマ株を選定出来るようにする。
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