2013 Fiscal Year Research-status Report
ネコのにおいを介した嗅覚コミュニケーションの仕組み解明と糞尿被害防止策の開発
Project/Area Number |
25850217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (20392144)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケミカルシグナル / 嗅覚 / 個体識別 / 尿 / GC-MS |
Research Abstract |
少子高齢化社会でペットに安らぎを求める人々が増え、ネコの飼育頭数は年々増加している。それに伴い、幼稚園や公園、住宅街において放し飼いネコや野良ネコによる糞尿被害も増加しており、衛生面、人畜共通伝染病の観点から大きな問題になっている。ネコの糞尿被害を防止する製品は多数販売されているが、十分な効果は得られていない。申請者は、ネコの縄張りに他のネコ尿を提示した時、ネコは興味を持ってにおいを嗅ぐが、イヌと違いオーバーマーキングしないことを見出した。そこで本研究では、においを介したネコの嗅覚コミュニケーションの仕組みを行動レベルから分子レベルまで解明し、ネコの行動原理に基づき、においを使って特定の場所で糞尿をさせない、新たな糞尿防止策を開発を目指している。本年度は、香気成分をマイクロスケールパージ&トラップ-二次元ガスクロマトグラフィー-質量分析計で解析する系を構築して、複数個体のオスネコと去勢オスネコの尿を解析し、種、性、年齢、個体の違いで変動するにおい分子の特定を目指した。オスネコ7頭の尿のヘッドスペースガスを分析した結果、各個体で1000分子種以上の化合物が検出された。得られた結果を多変量解析した結果、本研究ではオスネコに特有な揮発成分、個体差間で差が生じる揮発性化合物を識別することができた。また種に特有な化合物として検出されたメルカプタンの一種については、それを含む尿と含まない尿を調整してネコが嗅ぎ分けることができるかオミッション法で調べた結果、このメルカプタンの有無をネコがにおい嗅ぎで識別していることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ネコの尿には数百、数千種類にもおよぶ有機化合物が存在していると考えられるが、今年度の成果より種の識別に重要なケミカルシグナルの特定に至った。よって本研究は順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、個体差のある化合物で同様にオミッション法を行い、ネコが個体差の識別に利用している揮発性物質の特定を目指す。またメスネコの尿の分析から、特に発情期のメスネコに特有な化合物が存在するか調べる。
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Research Products
(3 results)