2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25850227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
相内 大吾 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (50552783)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 昆虫寄生菌 / Beauveria bassiana / 感染症媒介蚊 / Anopheles stephensi / 自動行動アッセイ / 宿主探索行動 / ベクターコントロール / 行動制御 |
Research Abstract |
平成25年度は自動行動アッセイ装置を人工気象器内に移設し、温度・湿度コントロール下で各種行動を解析できるよう再構築した。また、当アッセイ装置を用い、昆虫寄生菌をふ節局所的に接種したハマダラカの熱源および色に対する宿主探索行動を解析した。対照区では10日間の試験期間で暗期に500~1000回熱源へのタッチダウンが継続的に記録された。一方、昆虫寄生菌処理区では、菌接種後2日間は暗期に1000回を超える活発な熱源へのタッチダウンが記録された。しかし、菌接種3日後から急激に熱源へのタッチダウン数が減少した(100回前後)。また、ターゲットとして黒色紙(色)を用いた試験では、対照区では10日間の試験期間で明期に900~1300回の黒色紙へのタッチダウンが継続的に記録された。一方、昆虫寄生菌処理区では、菌接種5日間は明期に900~1300回のタッチダウンが認められ、昆虫寄生菌による視認による宿主探索行動への影響は認められなかった。しかし、菌接種6日後から(300回)黒色紙へのタッチダウンは徐々に減少した。 これまで昆虫寄生菌による害虫防除研究は主に対象となる害虫の生死を基準にその効果の評価がされてきた。今年度の研究成果により、昆虫寄生菌が直接的に害虫を致死する以前にも様々な亜致死性の効果を示すことが明らかとなった。今年度の研究結果は昆虫寄生菌の感染によりハマダラカは、熱および色を認識することが不可能となり結果として宿主を認知出来なくなる可能性を示している。宿主を認知できない個体は最終的に吸血が出来ないことを意味し、昆虫寄生菌の感染により疫学的な意味において不活性なベクターを作り出したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、これまでに自動行動アッセイ装置の再構築を実施し、熱源および色に対するハマダラカの宿主探索行動に対する昆虫寄生菌の影響を評価した。現在、オルファクトメータによる匂い源への誘引行動を評価している。これまで定量的な評価がなされてこなかった昆虫寄生菌感染による亜致死性効果を見出すとともに、これを自動行動アッセイ装置にて定量化することができた。よって、本研究は概ね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昆虫寄生菌の感染がハマダラカの吸血行動に与える影響を行動量と繁殖率の変化から評価する。測定エリアには擬似宿主としてペルチェ素子上にパラフィルム内に封入された脱繊維血液を設置する。擬似宿主は昆虫寄生菌の感染初期・中期・後期のタイミングで導入し、ハマダラカのタッチダウン数および宿主上定着時間を算出することで吸血行動量を定量化する。また、これらの行動学的解析を補完する形で、ハマダラカ排泄物中に含まれるヘモグロビン消化残余物のヘマチン量を測定することにより各昆虫寄生菌感染段階における吸血量を間接的に調査する。また、解剖学的手法により卵巣の発達程度および卵形成(濾胞の発育)程度を評価する。以上の計画を通じて昆虫寄生菌の感染によりハマダラカが産卵のための吸血が十分に行えない、もしくは血液を消化できない、「アンチ・フィーディング効果」について明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度予算は適正かつ計画的に使用してきたが、端数として267円が生じた。 26年度予算に組み込み、適正に使用する。
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