2013 Fiscal Year Research-status Report
特定のタンパク質と糖鎖の組み合わせにより発動される神経幹細胞の分化制御機構の解明
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25860053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
矢木 宏和 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (70565423)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | LewisX / HNK-1 / 糖鎖修飾 |
Research Abstract |
本研究は、Tenascin-C (TNC)やlysosomal-associated membrane protein 1 (LAMP-1)が一般的な糖タンパクとは異なる分泌経路を通ることで、HNK-1やLewisXのような特徴的なグライコトープが付与されるという想定のもとで実施するものである。そこで、TNCやLAMP-1が有する小胞体シグナル配列に着目し、LAMP-1のシグナル配列をIgκのシグナル配列に入れ替えたキメラタンパク質を神経幹細胞に発現させたところ、LAMP-1上のLewisXの限定的な糖鎖修飾は、かならずしも小胞体シグナル配列によって規定されていないことが明かになった。つまり、TNCやLAMP-1は分泌過程で、輸送タンパク質および細胞内レクチンなどの因子により分泌経路が選別され、特定の糖鎖構造が発現しているものと考えられる。 また、特異的な糖鎖修飾を受けた分子の機能発現機構の解明のために、細胞外でTNCやLAMP-1を認識する分子に関しても、プロテオミクス解析により同定することを試みた。抗TNC抗体を用いて、神経幹細胞の細胞抽出液から相互作用分子の探索を行った結果、ceruloplasmin (CP)をTNC分子の相互作用分子の1つとして同定することができた。CPはglycosylphosphatidylinositol (GPI)アンカー型タンパク質として、細胞表層に発現していることが知られている。こうしたことから神経幹細胞膜にGPI型タンパク質として存在するCPがHNK-1を発現したTNC分子を認識し、細胞内シグナルを発信している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を通じて、TNCの相互作用分子の同定に成功した。また、LAMP-1上のLewisXの限定的な糖鎖修飾に、シグナル配列の寄与がないことを示すことができた。以上、総合的に判断して概ね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、TNCやLAMP-1の分泌経路の選別を担う因子として、輸送タンパク質や細胞内レクチンに焦点をあて、その選別機構を明らかにすることを目指す。また、糖転移酵素が、糖鎖部分のみでなくキャリアータンパク質のペプチド部分を認識する可能も考慮して研究を進める。こうした研究を通じて、糖タンパク質の選別輸送における未知なるメカニズムを解明する。 これまでに、HNK-1糖鎖がRas-MAPKシグナル伝達経路を調節し、神経幹細胞の維持に関与ことを報告しているが、その詳細な作動機構は未だ明らかになっていない。本年度同定したCPが本シグナル経路の上流に存在するかを明らかにしつつ、HNK-1で修飾されたTNCとCPの相互作用様式の分子基盤の解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた「人件費・謝金」費において、該当実験補助員が見つからず、次年度使用額が生じてしまった。 実験補助員に確保に努めつつ、キットなどを購入し有効利用することで、実験の効率化を図る。
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Research Products
(6 results)