2013 Fiscal Year Research-status Report
日本産当帰の生産拡大を指向した新規品質評価法の確立
Project/Area Number |
25860077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 陽平 金沢大学, 薬学系, 准教授 (10366833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トウキ / 品質評価法 / 栽培研究 / メタボローム解析 |
Research Abstract |
本研究課題は、漢方生薬「当帰」について新規品質評価法を確立することを目的にしている。当帰の全形生薬は様々な太さの根から構成されていることから、各部位別の特徴を調べることで全体の評価を行うことを計画した。原植物は日本薬局方に規定される2種類、オオブカトウキとホッカイトウキを使用した。前年度に作製した1年生苗を使用し、平成25年度は収穫目的の株を栽培した。さらにオオブカトウキについては通常の1年半の栽培期間を要するものに加え、秋撒きによる期間を短縮した8ヶ月栽培のものも作製した。重量はそれぞれ約60グラム、25グラムであった。いずれも同条件下で収穫、乾燥および加工した。加工法は湯もみを実施したが、その際、低温(45℃)と高温(70℃)の2種類で行った。 1.品質評価法の検討:全形生薬を根頭部、主根部、側根部に分けてリグスチリド含量を測定した。その結果、根頭部に高い含量を認めた。短縮期間栽培の当帰は根頭部が小さいことから全体としてのリグスチリド含量も低くなることを明らかにした。 2.市場品の収集:中国産当帰(大和種)について、日本産との品質を比較した。日本薬局方試験法である、希エタノール含量試験法を実施した結果、日本産は55%を超える値であった一方、中国産はやや低い値となった。またホッカイトウキの市場品は細い根があまりない。すなわち加熱加工の際に、細かい根は脱落してしまうことを明らかにした。 以上より、当初の計画どおりの生薬を作製することに成功した。さらなる品質評価およびメタボローム解析の結果を合わせる事で各生薬の特徴付けが可能となり、栽培法への重要なフィードバック情報となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題はオオブカトウキおよびホッカイトウキについて、1年目に、解析する生薬検体の作製、2年目に作製した検体の評価を行う計画である。オオブカトウキについては短縮期間による栽培品も作製した。多くの収穫苗が得られた事から、当初の計画以上に2種類の温度での加工条件を試す事ができた。トウキは根の上部、中部、細根、など部分に分け、解析を行っている段階である。予定どおりの生薬検体をそろえる事に成功したことから、平成26年度にはメタボローム解析をはじめ、予定している品質評価が可能になる。1年経過時での結果は達成していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は未測定の検体に対してリグスチリド含量、日本薬局方試験法を実施し、さらにメタボローム解析を行う。一部は既に解析中である。部位別による解析結果をもとに品質を評価することが可能になる。また、これらの結果をもとに指標となる要素を見いだし、新たな評価法を決定する。短縮期間栽培のトウキは、圃場の有効利用という意味で労力を防ぐことになる。今回の様々な検体により工程における品質の差を明らかにできるとともに使い分けをも可能にする作り分け法をも明らかにする。
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