2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本産当帰の生産拡大を指向した新規品質評価法の確立
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25860077
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 陽平 金沢大学, 薬学系, 准教授 (10366833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トウキ / 品質評価法 / 国内生産 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
漢方生薬「当帰」の伝統的な手法により国内生産がなされているものの、地域により製法が異なっている。本研究課題では当帰の生産拡大を指向し、加工法の違いによる評価が可能な新規品質評価法を開発することを目的とした。方法として、当帰の品質に最も影響を与えると考えられる加工工程について、特に湯もみに着目して検討した。トウキの収穫物は根頭部から末端部まで様々な太さの根から構成される。根の太さにより湯もみのお湯の温度による含有成分の影響が異なることを予想し、部位別に分割してそれぞれ解析を行った。 平成25年秋の収穫物に対して、低温(45℃)で5分および高温(70℃)で1時間の2種類の条件で湯もみを実施した。根頭部、主根部内側、主根部外側、側根(約5 mm以上)、側根(約 5 mm 以下)の5部位について、希エタノールエキス含量試験、リグスチリド含量試験、メタボローム解析試験を実施した。その結果、次の新事実を明らかにした。 1.湯もみ条件による品質変化: 無処置群より45℃、さらに70℃の湯もみにより希エタノールエキス含量が増加した。一方、リグスチリド含量は70℃で減少した。 2.部位別の品質変化: 希エタノールエキス含量およびリグスチリド含量は側根部の変化が大きい。これは側根部の細い根が温度変化を受けやすいという予想と一致した。一方で、メタボローム解析では根頭部の変化も明らかにした。要素PC1は、湯もみ無処置群と比較して、45℃と70℃では逆方向の変化を示した。すなわち45℃と70℃では成分変化によりそれぞれ別の成分が生成していることを示唆している。 以上、本研究課題では、湯もみ温度の違いによる品質を明らかにする品質評価法を確立した。湯もみ温度の違いにより生産された当帰は品質が異なり、今後の生産は湯もみ温度の統一、或は温度別により生産された生薬の使い分けが必要であることが示唆された。
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