2013 Fiscal Year Research-status Report
生体吸収性高分子材料を用いたハイブリッドペプチドの徐放性注射製剤の開発
Project/Area Number |
25860113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高娃 阿栄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50643805)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / DDS / ペプチド / 動態 |
Research Abstract |
我々の研究グループで発明されたEGFR2R-lyticハイブリッドペプチドはin vitro とin vivoレベルで癌細胞特異的に殺細胞効果と抗腫瘍効果を示し、新規抗がん剤としての有用性が確認された。しかし、臨床応用に向けては全身投与による血中安定性の向上が必要である。本研究では、生体吸収性高分子材料を用いて、EGFR2R-lyticハイブリッドペプチドの血中での放出を制御することにより血中動態を安定化させ、薬効を高めることを目的としている。平成25年度は、主に下記の研究内容を行った。 (1)生体吸収性高分子材料ゼラチンハイドロゲルを用いた徐放性ペプチド複合体製剤の作製。アニオン化ゼラチンPI 5(等電点5.0)との静電的相互作用を利用し、小さい粒径の安定した徐放性ペプチド複合体を作製した。 (2)in vitro における徐放試験。ウシ胎児血清を用いた生体内を考慮した環境でペプチドが徐放性ペプチド複合体から時間依存的に徐々に放出されるかどうかを確認した。 (3)in vivoにおける徐放試験。EGFR高発現癌細胞を皮下移植した担癌マウスモデルを用い、ペプチド単体と比べ、複合体処置ではペプチドの血中半減期の延長、ペプチドの腫瘍内送達の向上並びに抗腫瘍効果が増強されるかどうかを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の研究計画の内容に関して、予定していた生体吸収性高分子材料ゼラチンハイドロゲルを用いたハイブリッドペプチドの徐放性注射製剤の作製ならびに、in vitro及びin vivoにおいてペプチドが複合体から時間経過とともに放出され、ペプチド単体よりも優れていることが確認できているために、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、臨床実績のある新たな高分子材料チオール化カルボキシルメチルデキストランを用い、予めシステインを導入したEGFR2R-lyticハイブリッドペプチドのS-S結合によるペプチド複合体を作製し、ゼラチンハイドロゲルと同様にペプチドの体内動態を改善できるかどうかを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度には生体吸収性高分子材料ゼラチンハイドロゲルとハイブリッドペプチドの静電的相互作用により作製した徐放性ペプチド複合体がペプチド単体よりも優れていることが確認された。引き続き、次年度には新たな高分子材料であるチオール化カルボキシルメチルデキストランを用い、予めシステインを導入したハイブリッドペプチドのS-S結合による徐放性ペプチド複合体を作製し、ゼラチンハイドロゲルを用いた実験と同様な検討を行う。 H26年度の研究費の使用計画としては、次の項目で使用予定である。 EGFR2R-lyticハイブリッドペプチドの薬理作用を最大に発揮させる理想の徐放性ペプチド複合体製剤調製するために、導入率の高いチオール化カルボキシルメチルデキストラン合成実験の試薬類とシステイン導入したペプチドの購入等。IVIS分子イメージングを用いたペプチド血中動態実験を行うために、蛍光色素の購入等。動物実験のための動物購入、保守費用等。細胞培養を行う上で必要な細胞培養用プラスチック及びガラス器具類等。その他、実験で必要となる試薬類等。また、研究成果発表のための費用等である。
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Research Products
(4 results)