2015 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロン プレフォルディンはシナプス可塑性に必須な分子なのか?
Project/Area Number |
25860196
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
松浦 健二 姫路獨協大学, 薬学部, 助手 (20452641)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プレフォルディン / シナプス可塑性 / ユビキチン‐プロテアソーム系 / ニコチン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の学習・記憶の素過程はシナプスの伝達効率の変化(シナプス可塑性)にあると考えられている。その実験系モデルの1つとして長期増強現象(long-term potentiation:LTP)が知られている。LTPには蛋白質の新規合成、さらにはシナプス形態の変化が必要であるが、どのような蛋白質が発現し、それらがどのような方法で神経細胞及びシナプスの性質を調節し変化させているのかといった詳細な分子メカニズムには、不明な点が多い。これまで、本研究代表者は2次元電気泳動法とMALDI/TOF-MSによる質量分析法を用いて、ニコチンの腹腔内投与による海馬LTP様作用発現時(Matsuyama et al, 2003)に新規合成される蛋白質として、分子シャペロンであるプレフォルディン(PFDN)を同定している。 昨年度までの研究から、シナプス可塑性発現時において、マウス海馬におけるPFDNのmRNAと蛋白質がともに発現増加すること、PFDN蛋白質の発現増加にはニコチン受容体のα4β2とα7の両方が関与していることが分かった。そこで今年度では、PFDNの発現調節機構の解明を試みたところ、シナプス可塑性発現時においてPFDNのmRNAの増加とともに、ユビキチン化PFDNが増加していることが分かった。この結果から、シナプス可塑性発現時におけるPFDN蛋白質の発現増加にはPFDN蛋白質の新規合成だけでなく、ユビキチン‐プロテアソーム系による蛋白質分解の阻害も関与していることがわかった。
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