2014 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症発症に関わるミクログリアの活性化とケラタン硫酸の決定的相関
Project/Area Number |
25860234
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大篭 友博 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80584755)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ミクログリア / ケラタン硫酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷性神経障害で産生されたケラタン硫酸(KS)は軸索再生の阻害分子として働く、一方で、筋萎縮性側索硬化症で産生されるKSはミクログリアに選択的に発現する。平成25年度までの研究において、ショットガンプロテオミクスを用いたミクログリア上のKSPG候補分子を網羅的に同定した。複数の候補分子リストが得られたものの、これらの候補分子をKS合成能力のある培養細胞へ過剰発現させても、生体内のKSPGと同等の発現パターンは認められなかった。これは、本KSPGが極めて大量かつ多様性に富んだ糖鎖修飾を受けているためと思われた。そこで分子量とマイクロアレイの結果から候補分子の絞り込みを行った。候補分子の1つであるCD34はALSの早期から発現上昇すること、KSと発現分布が一致すること、KS合成酵素群と培養細胞へ共発現させることで、KS修飾に伴う分子量が増大することを明らかにした。精製したCD34およびKS含有CD34は単一分子であっても質量分析で同定できなかった。しかし糖鎖合成阻害剤の前処理によって、KSが消失し質量分析でも同定できた。次にミクログリアに発現したKSの生物学的な意義を明らかにするために、初代培養ミクログリアを用いた実験を行った。初代培養ミクログリアをLPSおよびIFNγで刺激するとKSの発現増加が起こる。そこで刺激前にKS合成に必須の酵素であるGlcNAc6ST-1のsiRNAを導入した。刺激によって炎症性サイトカインが産生されるが、siRNAの導入によってその産生量が有意に亢進した。このことからミクログリア上のKSは炎症反応を抑制している可能性が示唆された。平成26年10月からは申請者の所属変更のため研究の方向性をシフトし、KSが発現する直前期のミクログリアの形態学的変化を調べた。現在までにこの時期で既にミクログリアの形態学的パラメーターが有意に変動することを見出している。
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Research Products
(4 results)