2013 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌の悪性化に関わるケモカインネットワークの解明
Project/Area Number |
25860272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梅田 茂明 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30644439)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サイトカイン / 肺腺癌 |
Research Abstract |
発がん過程における主要癌遺伝子からのシグナル伝達を解明する目的で、KRAS遺伝子の下流分子の網羅的解析と同様の方法を変異型EGFR遺伝子を不死化気道上皮細胞にレトロウィルスを用いて遺伝子導入しマイクロアレイ解析を行った。その結果、両者の解析で共通して複数のサイトカイン遺伝子(CCL3, IL24, IL1B)の発現亢進が認められた。細胞株を用いたリアルタイムPCRによるmRNAの発現解析では、IL24, IL1Bが気道上皮細胞株や線維芽細胞株と比較して、肺癌細胞株での発現の減少や消失が認められた。肺腺癌手術症例を用いて、ヒト臨床検体におけるmRNAの発現解析を行ったところ、非腫瘍部と比較して腫瘍部ではIL24およびIL1Bの有意な発現低下を認めた。また、IL1Bは臨床病期を初期(Stage I)と進行期(StageII-IV)に分類し発現を比較した結果、進行期では初期よりも発現が有意に低下していた。腫瘍部での発現低下や癌の進行に伴う発現低下は、これらサイトカイン遺伝子が肺癌の腫瘍化や悪性化に関わる抑制因子として働いている可能性が示唆された。IL24については細胞生物学的な機能解析を行う目的で、cDNAの遺伝子クローニングを行った。IL24-EGFP融合遺伝子を作製し、不死化気道上皮細胞に導入したところ、細胞質で顆粒状に蛍光を発する蛋白を確認した。IL1Bも同様にクローニングベクターを作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、サイトカイン遺伝子の中でも特にケモカイン遺伝子に着目して発現解析を行う予定であったが、その前段階のマイクロアレイ解析やEGFR、KRAS遺伝子の共通の下流分子の項目の探索に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書で言及したケモカインリガンド(CXCL7, CXCL2, CCL3)およびそれらに対応すケモカイン受容体(CXCR2, CCR1/5)の発現解析を、まず肺癌細胞株で行う。次にその結果を元にその中の一つのリガンド・受容体遺伝子に着目して肺癌手術例の臨床検体で同様の発現解析を行う。リアルタイムPCRにはハイブリダイゼーション法を用いることで、特異性の高い発現評価を可能とし、条件検討の時間を短縮し、実験の律速を目指す。IL24を不死化気道上皮細胞に遺伝子導入し、機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究室で以前に購入していた試薬で実験の材料をまかなうことができたため。 ケモカインリガンド・受容体のリアルタイムPCRで使用するプライマー・プローブのセットを購入する。発現解析で用いるために、新たに気道上皮細胞と肺癌細胞株を購入する。
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