2015 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌の悪性化に関わるケモカインネットワークの解明
Project/Area Number |
25860272
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梅田 茂明 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30644439)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケモカイン / 肺腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該者の研究室では不死化気道上皮細胞に変異型KRAS遺伝子を導入して肺腺癌の進展に関わる分子を探索してきた。今回マイクロアレイ解析で有意な発現亢進を示したケモカイン遺伝子(CCL3, CXCL2, CXCL7)に着目して研究を行った。最終年度はCXCL7の局在を確認するために、免疫染色を施行。CXCL7は細気管支は陰性。腫瘍部では完全な陰性例と癌細胞に局所的に陽性の症例があり、癌細胞がびまん性に陽性の症例も認められた。染色の特徴を調べるために陽性の割合を0-1までのスコアで判定量的に評価し、組織型では充実性増殖優位型腺癌でスコアが高い傾向にあった。0.2をカットオフとして2群に分けた場合、充実性増殖優位型腺癌は高発現群に集中していた。CXCL7に対するレセプターとしてCXCR2を検討した。リアルタイムPCRで、細胞株では扁平上皮癌で高いものを認めたが、CXCL7高発現の細胞株との相関は見られなかった。臨床検体を用いた同様のリアルタイムPCRでは高い症例と低い症例を様々な組織型で認めた。CXCR2の免疫染色では、細気管支上皮は陰性。腫瘍部では、癌細胞は陰性か弱陽性。背景には形質細胞や好中球からなる炎症細胞が陽性であった。パラフィン包埋固定のヒト臨床検体において世界で初めて肺癌細胞でのCXCL7の発現を検出した。肺胞上皮や細気管支上皮は基本的に陰性で、肺癌の腫瘍化に関わる可能性がある。CXCL7とCXCR2との関係については、パラクラインを介した伝達経路や未知のレセプターを介した伝達経路が考えられる。CXCL7の発現については低分化な部分で陽性であっため、癌の進行期での役割が示唆される。
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