2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25860280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
大野 慎一郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (90513680)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エクソソーム |
Research Abstract |
慢性C型肝炎では線維化の進行により肝硬変から高頻度で肝がんを発症する。線維化の進行は肝がんの発症率と相関することから発がんの防止には、C型肝炎ウイルス(HCV)の完全な排除と、線維化の有効な制御方法の開発が必須である。これまでに肝炎の治療に対して数多くの核酸医薬の研究が行われているが、未だ実現化には至っていない。これらの問題点は核酸医薬を肝細胞へ効率良く送達するドラッグデリバリーシステム(DDS)にある。そこで、核酸による慢性C型肝炎の治療を実現するため、本研究ではHCVの排除と慢性肝炎に伴う線維化の治療を目的とした新規の核酸医薬とDDSの開発を目指した。初めに、HCVのエンベロープを基礎にした改変型エクソソーム産生細胞を樹立するために、HCVのエンベロープ発現ベクターの作製を行った。HCVの全長DNAより、HCVのエンベロープを構成する5‘側のCore, E1, E2, P7, NS2領域をサブクローニングし、エンベロープベクターを作製した。エンベロープベクターは、肝癌細胞株Huh-7およびヒト胎児腎細胞HEK293に導入し、HCVエンベロープを恒常的に発現する細胞株の樹立を試みた。結果、Huh-7細胞と比較して、HEK293細胞で強いエンベロープタンパク質の発現を確認した。また、HCVの全長DNAより、HCVの複製を担う分子およびパッケージングシグナルを有する3’側のNS3, NS4A, NS4B, NS5A, NS5B領域をサブクローニングし、パッケージングベクターを作製した。以上の実験から、改変型エクソソーム発現HEK293細胞の樹立および、核酸医薬を改変型エクソソームに内包するためのパッケージングベクターの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HCVエンベロープベクターを作製し、HCVエンベロープを恒常的に発現する細胞株の樹立に成功した。また、パッケージングベクターの作製も完了している。また本年度予定している、四塩化炭素の連続投与による肝線維化モデルマウスの樹立に成功しており、肝繊維化のin vivo評価系が既に確立できている。従って、ほぼ当初の予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作製したパッケージングベクターにリボザイム誘導性shRNAクラスターを組み込み、エンベロープを恒常的に発現するHEK293細胞へ導入することを行う。放出されるHCVエンベロープにリボザイム誘導性shRNAクラスターが内包されること、および各々のshRNAが機能的に切り出されることの確認を行う。In vitroにおいてshRNA内包改変型リポソームの機能を確認でき次第、肝繊維化およびHCV感染モデルマウスを用いて、症状の抑制効果を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は、当初の計画通りに試薬およびシークエンス受託解析、学会出張費等で助成金の約半分を使用した。従って次年度で残りの約半分を使用する予定である。 次年度も計画通りに、試薬およびシークエンス受託解析、学会出張費等で助成金の約半分を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)