2013 Fiscal Year Research-status Report
カロリー制限によるFoxO1、FoxO3を介した抗がん・抗老化遺伝子群の同定
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25860297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小松 利光 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 技術職員 (70380962)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カロリー制限 / FoxO / 抗腫瘍効果 / 寿命延長 / マイクロアレイ解析 |
Research Abstract |
これまでの研究で、2つの転写因子FoxO1とFoxO3aがカロリー制限(CR)による抗腫瘍効果と寿命延長効果を、それぞれ独立に制御している可能性が示された。よって本研究では、FoxO1とFoxO3aによってそれぞれ特異的に制御されるCRの抗腫瘍効果と寿命延長効果に関連する遺伝子群をマイクロアレイ解析により特定し、Bioinformatics解析により関連するシグナル経路を推測し、哺乳類のがんと老化の制御機構解析の分子基盤構築を試みた。本年度は6ヶ月間カロリー制限を行ったFoxO1 hetero KOマウス(FoxO1_HT)、FoxO3a hetero KOマウス(FoxO3_HT)及び野生型マウス(WT_CR)の肝臓からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った。FoxO1_HT群では、WT_CR群と比較してCDKN2a, IKZF1, RETなどLymphomaに関連する遺伝子群が減少しており、これはFoxO1_HTマウスにおいてCRのがん抑制効果が減弱する報告と一致する。また、これらの遺伝子群はFoxO3a_HT群とWT_CR群で有意差はなかった。このことは、CRのがん抑制に関与する遺伝子群がFoxO1特異的に制御されていることを示している。FoxO3_HT群では、WT_CR群と比較して、Myc, CDKN1A, BMPER, CPT1Bなどの遺伝子が変動しており、その予測される機能は細胞周期制御、アポトーシス、細胞増殖、脂質合成など多岐にわたっていた。さらに相互作用解析では、Myc、CDKN1A, CCND1, RORCがアレイで検出された他の遺伝子群と多くの相互作用を持つことを示唆した。これらの遺伝子がFoxO3aを介したCRの寿命延長効果に関与していると考えられる。次年度は、同定された遺伝子の生理的機能をin vitroで検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、複数の臓器についてマイクロアレイ解析をする予定であったが、予算の都合上から肝臓のみの実験となった。また当初二色法によるアレイを予定していたが、アジレント社推奨の一色法に変更して行われた。それ以外では、概ね予定通りに実行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、アレイ解析でスクリーニングされた遺伝子について、RNAiなど導入した培養細胞で生理的機能を解析する実験を計画している。
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