2014 Fiscal Year Annual Research Report
カロリー制限によるFoxO1、FoxO3を介した抗がん・抗老化遺伝子群の同定
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25860297
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小松 利光 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 技術職員 (70380962)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カロリー制限 / 抗老化 / 抗腫瘍効果 / FoxO / ミトコンドリア / マイクロアレイ解析 / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
2つの転写因子FoxO1とFoxO3aが、カロリー制限(CR)による抗腫瘍効果と寿命延長効果をそれぞれ独立に制御している可能性がある。しかし、2つの転写因子の標的遺伝子群はほぼ共通しており、特異的に制御されている遺伝子はほとんどわかっていない。よって本計画では、両転写因子によってそれぞれ特異的に制御されるCRの抗腫瘍効果と寿命延長効果に関連する遺伝子群をマイクロアレイ解析により特定し、その機能を検証することを試みた。マイクロアレイ解析の結果、肝臓においてFoxO1特異的に変動した遺伝子は426遺伝子、FoxO3a特異的に変動した遺伝子は565遺伝子、共通して変動した遺伝子は97遺伝子であった。FoxO3_Hetero KO-CR(F3HT-CR)群では、Wild type-CR群(WT-CR、対照群)と比較して、ミトコンドリア、細胞周期制御、細胞増殖、脂質合成に関与する遺伝子群が変動した。FoxO3はミトコンドリアの機能を制御し、またミトコンドリアの機能異常が老化の一因と考えられていることから、肝臓の単離ミトコンドリアの機能をFlux analyzerを用いて検証した。WT-CRのミトコンドリア活性はWT-AL(自由摂食群)よりも高く、ミトコンドリアの機能が高い状態であることを示した。F3HT-CRはWT-CRと比べ活性が低下しており、Foxo3欠損はCRによるミトコンドリア機能上昇を消失させることを示した。同様の現象がSV40誘導性hepatocyteにFoxO3a siRNAを導入したin vitro実験でも確認された。これらのことから、FoxO3a欠損によるCRの寿命延長効果の減弱には、ミトコンドリアの機能異常が関与していると考えられる。今後はFoxO3特異的に変動する遺伝子群からこのミトコンドリア機能異常に関与している遺伝子を同定する。
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