2014 Fiscal Year Annual Research Report
パーソナルゲノム時代のデータ共有における調査・研究
Project/Area Number |
25860381
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三成 寿作 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60635332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 倫理的・法的・社会的課題 / パーソナルゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ゲノム研究を通じて得られる個人遺伝情報の、研究者間での共有のあり方について調査・研究を行うことを目的としている。なお、共有される遺伝情報は、研究協力者個人にとって機微な情報を多分に含みうる情報であることから、特に倫理的・法的・社会的課題の検討に着目している。26年度は、日米欧におけるデータ共有方針及びデータ共有システムを中心に研究を進めた。 日米欧におけるデータ共有方針に関しては、最も積極的に活動している米国の動向に焦点をあてることになった。米国においては、新規のデータ共有方針が公表されたため、その経緯や内容を分析するとともに、従来のヒトゲノム計画以降のデータ共有方針との比較を実施した。結果として、データ駆動型研究を志向したデータ公開・共有の迅速化、また公開・共有データの範囲拡大及び具体化が進んでいることが明確になった。また日米欧のデータ共有システムについては、主に、米国のdbGaP、欧州のEGA、日本のJGAといった公的データベースの動向について調査を進めた。公的データベースの運営体制やマネジメントに関しては、各国の資金配分機関との関係性が極めて重要であることが浮き彫りとなり、また専門的人材や倫理的・法的規制、クラウド化への対応が急務化していることが明らかとなった。 さらに、データ共有の推進に伴う倫理的課題への対応として、インフォームド・コンセントや研究結果の開示、データ登録者へのインセンティブについての検討を行った。インフォームド・コンセントや研究結果の開示には、研究環境への情報通信技術の導入、そして、データ登録者へのインセンティブについては、解析データの利活用に基づく評価システムの開発が必要であることについて考察を深めた。
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