2015 Fiscal Year Annual Research Report
間質性肺疾患の新規血清マーカーの開発と革新的分子標的治療法の確立
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25860649
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
角川 智之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (90570953)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 特発性間質性肺炎 / 特発性肺線維症 / 急性増悪 / バイオマーカー / HSP47 / 急性間質性肺炎 / 薬剤性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
Heat shock protein (HSP) 47は、小胞体内に存在するコラーゲン特異的分子シャペロンであり、各種線維化疾患においては線維化進展を促進し負の生理作用をもたらす。 我々はこれまでに、HSP47が肺線維症モデルマウスにおいて線維化の進行と比例して発現が上昇することを報告してきた。更に我々はヒトの外科的肺生検組織を用いた検討により、1)HSP47は活動性のある線維化病変局所において特異的に強く発現すること、2)各種間質性肺疾患病理分類ごとにHSP47発現量が異なること、3) その発現量は間質性肺疾患の予後予測因子となり得ることなどを報告してきた。これまでの知見から、肺組織中のHSP47発現は間質性肺疾患の線維化活動性を反映するものと考えられる。 そこで我々は、肺組織中から血液中に漏出してきたHSP47蛋白を測定することにより、肺組織中のHSP47発現量を推定することができ、各種間質性肺疾患の鑑別診断や活動性の把握、予後予測を行うことができるのではないかとの着想に至り、検討を行ってきた。これまでの我々の検討結果では、AIP、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis: IPF)の急性増悪、薬剤性肺炎のDADパターンでは血清中HSP47が著明高値を示すのに対し、安定しているIPFや特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia; COP)、NSIPなどでは健常人ボランティアと同等の値しか示さないことが明らかとなってきた。 AIPやIPFの急性増悪、薬剤性肺炎のDADパターンにて特異的に血清中HSP47値上昇がみられることが分かってきたが、これらに共通する病態は、いずれも病理学的にDADをきたすことが多いとされていることである。これまでの検討結果から、血清中HSP47は病理学的にDADをきたす肺疾患の特異的マーカーである可能性が示唆されている。
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