2013 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎症におけるNADPHオキシダーゼNoxアイソフォームの病態的意義の解明
Project/Area Number |
25860694
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
浪越 為八 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90509332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / NADPHオキシダーゼ / Nox / オーストラリア:アメリカ |
Research Abstract |
糖尿病性腎症進展には活性酸素種の主要産生源の1つNADPHオキシダーゼの活性化が関与していることが知られている。しかし、その細胞膜アイソフォームNox1、Nox2、Nox4の病態的意義は解明されていない。そこで、遺伝子改変マウスのストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病モデルを用いて、糖尿病性腎症進展における各々の病態的意義を解明することを目的とし、本研究を開始した。 1.動物モデルの作成 6週齢雄性Nox1、Nox2、Nox4各遺伝子欠損型(KO)及び野生型(WT)マウスにSTZ腹腔内投与による糖尿病群と偽投与対照群を作成した。糖尿病発症後10及び20週目に腎組織を採取した。 2.生理学・生化学検査 20週WTでは糖尿病によりアルブミン尿の増加が確認された。Nox1KO、Nox4KOではアルブミン尿は軽減されていたが、Nox2KOでは改善がみられなかった。 3.腎組織障害度 20週WTでは糖尿病により糸球体硬化度が上昇(糸球体硬化が進行)していた。Nox1KOでは抑制傾向がみられたが、Nox2KO、Nox4KOでは抑制されなかった。 4.RT-PCR法による各種病態関連遺伝子のmRNA発現 上記結果を踏まえ、Nox1、Nox4について、解析を行った。10週Nox1WTでは糖尿病によりNox2、フィブロネクチン、α-平滑筋アクチン(SMA)mRNAの有意な発現上昇を認め、Nox1KOで抑制されていた。一方、Nox4KOでは糖尿病によるNox2、フィブロネクチン、α-SMA mRNA発現上昇は抑制されなかった。 5.免疫染色による各種病態関連蛋白の発現 糸球体ニトロチロシン(NT)蓄積は20週Nox1WTで糖尿病により有意に増加し、Nox1KOで完全に抑制されていた。一方、Nox4KOでは糖尿病による糸球体NT蓄積は抑制されるも十分ではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nox1、Nox2、Nox4各遺伝子欠損型(KO)及び野生型(WT)マウスにおける糖尿病および非糖尿病モデルの作成に成功し、アルブミン尿や腎組織障害度、RT-PCR法による各種病態関連遺伝子のmRNA発現、そして免疫染色による各種病態関連蛋白の発現を解析評価するに至った。これらの検討項目については、当初の設定どおり、本年度中に終えることができたことは評価できる。 一方で、内皮特異的(Tie2-Cre)Nox2 KO/WTマウスのSTZ誘導糖尿病モデルの作成については、相当の時間を要する作業であり、次年度も継続して取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Nox1、Nox2、Nox4各遺伝子欠損型(KO)及び野生型(WT)マウスにおける糖尿病および非糖尿病モデルにおける、これまでの解析結果より、糖尿病性腎症進展にはNox2、Nox4よりもNox1活性化の関与が示唆されている。さらに補完データの解析を進め、各Noxアイソフォームの病態的意義を検証していきたい。 次年度は、まずは、内皮特異的(Tie2-Cre)Nox2 KO/WTマウスのSTZ誘導糖尿病モデルの作成に注力する。そして、糖尿病性腎症の病態下での、糸球体内皮におけるNox2の役割の解明につなげたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Nox1、Nox2、Nox4各遺伝子欠損型(KO)及び野生型(WT)マウスにおける糖尿病および非糖尿病モデルでの解析において、RT-PCR法によるmRNA発現及び免疫染色による蛋白発現で評価が実施できた項目は、本年度の研究実施計画にて予定されていた項目の一部である。次年度では、未評価のmRNA発現(Nox1, Nox4, p47phox, TGFβ, CTGF, Collagen-IV, MCP-1)や蛋白発現(Nox2, Fibronectin, Collagen-IV)についても、解析し評価することにしている。 次年度使用額は、未評価のmRNA発現(Nox1, Nox4, p47phox, TGFβ, CTGF, Collagen-IV, MCP-1)及び蛋白発現(Nox2, Fibronectin, Collagen-IV)の解析費用に充てる予定である。また、翌年度分として請求した助成金に関しては、当初の研究実施計画に従い、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)