2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロメジンUのレプチン抵抗性における臨床的意義
Project/Area Number |
25860766
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青谷 大介 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80600494)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レプチン抵抗性 / ニューロメジンU / 肥満 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年までの検討により、NMUは高脂肪食により誘導されるレプチン抵抗性の発症や増悪に関与している可能性が示唆された。レプチンにはインスリン感受性亢進による糖代謝改善作用があり、レプチン抵抗性はインスリン抵抗性とも密接に関連している。 そこで最終年は、NMU欠損状態においてレプチン抵抗性の軽減に関連してインスリン抵抗性がどのように変化しているのか検討した。ここでは、より生理的な状態で検討する事を目的として、高脂肪食負荷によってレプチン抵抗性を誘導した。NMU-KOおよび野生型(WT)に25週間高脂肪食を負荷した結果、NMU-KOではWTに比べて体重減少を認めないにも関わらずレプチン感受性が亢進しており、NMUがレプチン抵抗性の惹起に関与している事がまず再確認された。またWTマウスではインスリン抵抗性による糖代謝の悪化が認められたが、NMU-KOでは改善しており、レプチン抵抗性の軽減とともにインスリン感受性の改善が認められた。 次にインスリン抵抗性が改善した原因について、インスリン標的臓器である脂肪組織や肝臓での炎症シグナルについて検討した。脂肪組織においては、IL-6、IL-1βなどの炎症関連遺伝子の発現低下、マクロファージのマーカーであるF4/80陽性細胞の細胞数の低下が認められた。また肝臓においても、IL-6、IL-1β、MCP-1、TNFαなどの炎症関連遺伝子の発現低下が認められた。 これらの結果から、NMUはメタボリックシンドロームの新たな治療ターゲットになり得ると考えている。この2年間で、NMUが視床下部におけるレプチン抵抗性あるいは炎症シグナルを介した末梢組織でのインスリン抵抗性に深く関与している事を明らかにした。今後の展開として、具体的な炎症シグナルパスウェイの同定や組織特異性について詳細な検討を行い、創薬に繋げていきたいと考えている。
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