2014 Fiscal Year Annual Research Report
BRAF遺伝子変異をもつCFC症候群発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
25860839
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 晋一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70622091)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | CFC症候群 / BRAF / RASopathies / RAS/MAPK / 先天性心疾患 / ヒストン脱メチル化酵素 / 骨格異常 / リンパ管形成異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cardio-facio-cutaneous(CFC)症候群は心疾患・特異的顔貌・皮膚疾患・精神発達遅滞を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患である。これまでにその主要な原因は生殖細胞系列におけるBRAF遺伝子の変異であることがわかっている。昨年度はCFC症候群患者で最も高頻度に認められるBrafQ241R変異ががんで認められる主要なBRAF変異(BRAFV600E)同様に、下流のシグナルであるERKを活性化するかどうか調べた。その結果、BrafQ241R変異は癌同様にERK活性化を伴う機能獲得性変異であることがわかった。さらにBrafQ241R遺伝子へ変異をもつノックインマウスをCFC症候群モデルとして作製したところ、CFC症候群モデルマウスは肝壊死、リンパ管形成異常を伴う浮腫、骨格異常(下顎形成不全、脊柱後弯)を示し胎生致死であった。最終年度はCFC症候群患者で高頻度に認められる先天性心疾患(肺動脈弁狭窄、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症)について解析を行った。その結果、CFC症候群モデルマウス胎仔では肺動脈弁狭窄、心室中隔欠損症、緻密化障害、肉柱異常など種々の心疾患が認めることがわかった。これら疾患を治療するような薬剤をスクリーニングしたところMEK阻害剤であるPD0325901、ヒストン脱メチル化阻害剤であるNCDM-32bおよびGSK-J4、あるいはPD0325901とGSK-J4の併用がCFC症候群モデルマウスの胎生致死改善に有用であることを見出した。これらの成果はCFC症候群の病態メカニズムを明らかにしただけでなく、その治療法を提案するものである。また本疾患は癌原遺伝子として知られるBRAF遺伝子への変異によってもたらされるものであり、本研究により明らかになった治療法はCFC症候群の治療としてだけでなく、癌治療への可能性を秘めている。
|
Research Products
(8 results)