2015 Fiscal Year Research-status Report
末梢神経障害回復におけるネスチン陽性毛包幹細胞の役割及び新しい治療法の確立
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25860966
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三井 純雪 北里大学, 医学部, 講師 (80337948)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 末梢神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
毛包に存在するネスチン陽性細胞は、末梢神経障害時に神経切断面に向けてβIIItubulin陽性の突起を延長する。それらの突起は成長円錐を有す軸索であり、またシナプスを構成するカルシウムイオンチャンネルを有し、シナプスに発現するsyntaxin陽性であった。さらに、ネスチン陽性細胞は毛包のみならず末梢神経にも存在していた。末梢神経のネスチン陽性細胞は、毛包に存在する細胞とほぼ同様の性質を持ち、末梢神経障害時に神経細胞等に分化する。この細胞の増殖は脊髄等の中枢神経にはみられない。このことは末梢神経障害が回復可能な一方、中枢神経は回復しないひとつの理由ではないかと考えられる。また、ネスチン陽性細胞から分化した神経細胞は軸索誘導因子netrinを強く発現していた。このことは、中枢からの新生軸索が都合よく障害された末梢神経に伸びていくことを説明できる結果が得られたと考えた。さらに、神経節にもネスチンを発現する細胞が存在することが分かった。神経節に存在するネスチン陽性細胞は、組織学的には神経細胞体の周囲に存在する衛星細胞と考えられる。末梢神経障害時におけるこれらの細胞の役割はまだ不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分化した神経細胞が機能を有するかを解析することを課題に挙げていたが、達成できていない。具体的には神経伝導を有することを証明したかったが、機器の問題、技術的問題で達成できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
活動電位を計測するトレーニングを積んだ技術員の協力が得られることになり、また当医学部で使用可能になる浜松ホトニクスのCMOSカメラ ORCAFlash4.0, HCImage Analysisの導入により、蛍光ライブセルイメージングのより詳細な検討が可能になるなど、技術的問題、機器的問題が解決しつつある。またin vivo実験に不可欠なネスチンGFPマウスを入手し、生体内でのネスチン陽性細胞の役割を追及する。
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Causes of Carryover |
ネスチンGFPトランスジェニックマウスを購入、飼育するにあたり、購入時期が年度末近くになり、動物実験施設の利用申請、動物の施設への搬入、繁殖までに時間がかかるため、次年度使用額にて費用することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年5月より、上記動物を用いた動物実験が開始でき、またCMOSカメラ ORCAFlash4.0, HCImage Analysis等を用いて神経伝導実験を行う。
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Research Products
(2 results)