2013 Fiscal Year Research-status Report
経血管インターベンションによる血管透過性の制御を介する抗腫瘍療法の開発
Project/Area Number |
25861078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 耕太郎 金沢大学, 大学病院, 医員 (30645130)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経血管インターベンション / 薬剤輸送システム / 血管バリアー機能 |
Research Abstract |
経血管インターベンションを用いた薬剤輸送システム(DDS)は、標的部位に限局した高濃度の抗癌剤や分子標的薬剤の到達を可能とする治療方法であり、薬物効果を最大化し、副作用を最小化できる利点を有し、今後の発展に強い期待が寄せられている。腫瘍血管は一般に透過性が亢進しており(血管内皮障壁(バリアー)機能低下) 、血漿の血管外漏出により間質圧が上昇し、血液循環が妨げられている。この腫瘍血管の特性は水溶性抗癌剤の腫瘍細胞への到達の妨げとなる一方、リポソームや大分子ミセルを担体としたDDSにおいては担体の血管外漏出を促進し腫瘍への薬物到達を高める可能性がある。本研究では動物モデルを用いて、血管バリアー機能のコント ロールにより、水溶性及びカプセル化された抗癌剤それぞれの腫瘍送達を最適化する手技を確立することを目的としている。 今年度は、経血管インターベンションが可能なウサギVX2腫瘍肝移植モデルを用いて、肝動脈からの血管作動性物質局所投 与により血管透過性を急性及び慢性にマニピュレートした場合の、腫瘍内および腫瘍周囲血管の内皮透過性、血流及び血管系の形態変化を評価する計画であったが、後述する如く完遂することが困難であった。現在、研究計画を見直し、ア)家兎に対する動脈カテーテル手技の確立、イ)薬剤投与量(濃度)の検討、を行っている。既に施設の動物実験委員会の承認(承認番号:AP-132949)を得ている。今後は実験モデルの確立をし、まず未治療状態での腫瘍および非腫瘍部の血管内皮の形態学的特徴、血管内皮機能を検討し、肝腫瘍モデルウサギに対して血管作動性物質を経肝動脈的に投与後の血管内皮機能およびバリアー機能を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、経血管インターベンションが可能なウサギVX2腫瘍肝移植モデルを用いて、肝動脈からの血管作動性物質局所投 与により血管透過性を急性及び慢性にマニピュレートした場合の、腫瘍内および腫瘍周囲血管の内皮透過性、血流及び血管系の形態変化を評価する計画であったが、後述する如く完遂することが困難であった。他施設の協力をいただいて、家兎に対する動脈カテーテル手技の確立のための見学および実験手技の実施を行ったが、血管露出およびシースシステムの導入手技は、緻密な手技であり手技確立に難渋した。また当施設の研究室および実験室などの移転が予定されていたこともあり、旧実験室における機器についての整備や修理を行う必要があり、実験が制約されたことも実験をスムーズに開始できない要因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究計画を見直し、ア)家兎に対する動脈カテーテル手技の確立、イ)薬剤投与量の検討、を行っている。既に施設の動物実験委員会の承認(承認番号:AP-132949)を得ている。今後は実験モデルの確立をし、まず未治療状態での腫瘍および非腫瘍部の血管内皮の形態学的特徴、血管内皮機能を検討する。具体的には形態学的評価はパラフィンあるいは凍結切片を用い血管内皮細胞(抗CD31抗体)および周皮細胞(抗NG-2抗体及び抗αSMA抗体)の免疫染色により評価を行い。また血管内皮間のVEカドヘリンによる細胞間接着を走査顕微鏡にて観察し、上記部位における腫瘍内血管と正常組織血管の差異の有無を検討する。血管透過性の評価には、エバンスブルー色素の静脈注射(i.v.)後の血管外への漏出量の定量、及びFITC-デキストラン(40-70kDa)のi.v.後の血管外漏出の蛍光顕微鏡による組織学的観察により、定量的評価を行う。また当初予定していた肝腫瘍モデルウサギに対して血管作動性物質を経肝動脈的に投与後の血管内皮機能およびバリアー機能を評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、経血管インターベンションが可能なウサギVX2腫瘍肝移植モデルを用いて、肝動脈からの血管作動性物質局所投 与により血管透過性を急性及び慢性にマニピュレートした場合の、腫瘍内および腫瘍周囲血管の内皮透過性、血流及び血管系の形態変化を評価する計画であったが、後述する如く完遂することが困難であった。他施設の協力をいただいて、家兎に対する動脈カテーテル手技の確立のための見学および実験手技の実施を行ったが、血管露出およびシースシステムの導入手技は、緻密な手技であり手技確立に難渋した。また当施設の研究室および実験室などの移転が予定されていたこともあり、旧実験室における機器についての整備や修理を行う必要があり、実験が制約されたことも実験をスムーズに開始できない要因となった。そのため、実験に使用する予定であったマイクロカテーテルや薬剤などの購入も控えたため、多くの未使用額が生じた。 来年度から施設の実験室の環境も整い、家兎に対する動脈カテーテル手技の確立も可能と考えられる。既に施設の動物実験委員会の承認(承認番号:AP-132949)を得ている。今後は、まず未治療状態での腫瘍および非腫瘍部の血管内皮の形態学的特徴、血管内皮機能を検討する。また当初予定していた肝腫瘍モデルウサギに対して血管作動性物質を経肝動脈的に投与後の血管内皮機能およびバリアー機能を評価する予定である。 したがって、今年度の未使用額および当初より次年度予定していた経費について、次年度は予定通り使用されるものと考えられている。
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