2013 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギーX線治療における光核反応の生物学的効果に関する研究
Project/Area Number |
25861144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
脇田 明尚 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理士 (30595731)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光核反応 / MKM / X線治療 |
Research Abstract |
本研究の最終目的である高エネルギーX線治療場における光核反応粒子を含んだ包括的な生物学的効果の評価を行うため,今年度は固定飛跡検出器であるCR-39を用いた実験を行った.また,CR-39によって得られる結果を生物学的効果の評価ツールとしてのMicrodosimetric Kinetic Model (MKM)へ適用するため,CR-39中の制限LETから線エネルギーへ変換するためのモンテカルロシミュレーションを行った. CR-39は光子・電子に対しては不感であり,高強度のX線場において光核反応によって発生する中性子・荷電粒子を効率的に測定することが可能である.測定を行ったリニアックはClinac iX(Varian社)で,X線エネルギーは15 MVを利用し,照射野サイズは20×20 cm2とした.ビーム中心軸におけるタフウォータ表面,5 cm,および10 cm深にCR-39を設置してX線を照射したのち,7N NaOHによるエッチングを行った.その後ピット解析を行い,CR-39中の制限LET分布を取得した. 一方で,MKMを用いた細胞生存率の導出においては,制限LETではなく線量平均線エネルギーが必要である.本研究ではシミュレーションツールキットGEANT4を用いたモンテカルロシミュレーションを行い,マイクロドシメトリの定義に基づいて制限LETと線量平均線エネルギーの関係を明らかにした. これらの結果を組み合わせることで,CR-39照射条件下における各深さの線量平均線エネルギーを取得し,MKMへ適応することで生物学的な評価を行うことが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CR-39における測定が順調に進み,制限LETを算出するための評価手法も確立することができた.さらにモンテカルロシミュレーションに関しても今回の研究で必要とする部分の7割程度を完遂することができたため,おおむね順調に進んでいると考えている. 一方で低LET側の分布を取得するためのシンチレータの開発はシミュレーションによる設計段階であり,その結果から製作に技術的な困難があると懸念している.包括的な生物学的効果を評価するために,シンチレータ以外の別方面からのアプローチも検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
CR-39による測定と解析方法は確立できたので,さまざまな照射条件下で測定することで実際の臨床上の影響を算出する予定である. また,物理的な実験結果から算出される生物学的効果を,実際の細胞条件下でも行うことで,結果の妥当性を評価していく. 一方で低LET側の分布を取得するためのシンチレータの開発はシミュレーションによる設計段階であり,その結果から製作に技術的な困難があると懸念している.包括的な生物学的効果を評価するために,シンチレータ以外の別方面からのアプローチも検討しているが,現状はいまだ検討段階である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初低LET側の粒子分布を測定するためのプラスチックシンチレータ開発予算を見込んでいたが,この開発が今年度中に完遂できなかったため. 現在上記プラスチックシンチレータをシミュレーションにより設計しており,今回の目的が達成できる仕様が設計完了すればシンチレータの作製費用として使用する.
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Research Products
(3 results)