2015 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギーX線治療における光核反応の生物学的効果に関する研究
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25861144
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
脇田 明尚 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理士 (30595731)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射線治療 / X線 / 光核反応 / RBE / MKM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的である高エネルギーX線治療場における光核反応粒子を含んだ包括的な生物学的効果の評価を行うため,単純な照射条件についてX線と光核反応粒子の混合場での生物学的効果比(Relative Biological Effectiveness; RBE)の算出を行った.RBEは細胞実験などの生物実験より算出することが多いが,実験環境の構築に至っていないため,実験データより得られた放射線の物理情報から,MKM(Microdosimetric Kinetic Model)と呼ばれる生物モデルを用いてRBEを算出した.さらに,ここまでの結果を投稿論文としてまとめ,投稿準備の段階まで至った. 今年度は,さらにこれらの実験データを裏付ける汎用モンテカルロコードであるGEANT4を用いたモンテカルロシミュレーションを実施し,実験値との比較を行った. しかし,モンテカルロシミュレーションは,実験データを完全に再現することができず,原因の追究を行ったが,今年度中には結論まで至らなかった. これらのモンテカルロシミュレーションは,現在実験によって得られている単純な照射条件を,臨床に沿った複雑な照射条件へ拡張するために必須のものであるため,継続して原因の追究を行う予定である. 次年度には現在準備中の論文投稿を行うとともに,モンテカルロシミュレーションについての考察を含めて,臨床条件へと拡張したデータを用いて,さらにもう一報の論文投稿を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在,単純な照射条件における光核反応粒子とX線の混合場の生物効果において評価できている. 今後はこれらのデータをより臨床に近い複雑な条件へモンテカルロシミュレーションを用いて拡張する予定であるが,現在シミュレーションで単純な条件の結果を再現できていないため,さらなる検討が必要となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
計画目標である高エネルギーX線治療場における光核反応粒子を含んだ包括的な生物学的効果の評価については,実験データと生物モデルを用いることで単純な条件における評価方法を確立できている. ただし,実際の臨床条件はもう少し複雑であるため,これらの条件に適合した評価をモンテカルロシミュレーションにより求めていく予定である.
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Causes of Carryover |
本年度中に論文を作成し,英文校正および投稿を行う予定であったが,完成にいたらなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英文校正費および論文投稿費
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