2015 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療後の血漿中腫瘍由来DNA増加を利用した癌診断・薬剤感受性解析法の確立
Project/Area Number |
25861145
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Komagome Hospital (Clinical research laboratory) |
Principal Investigator |
影山 俊一郎 東京都立駒込病院(臨床研究室), その他部局等, その他 (60644979)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線治療 / cell free DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】血漿中腫瘍由来DNAは癌の診断や分子標的薬の感受性予測に有用であることが知られており、本研究では放射線治療が癌組織特異的にアポトーシスを誘導する点に着目し、放射線照射後に血漿中腫瘍由来DNAが増加するという臨床仮説の元にこれを利用した癌の診断、薬剤感受性予測の解析を行うことを目的とした前向き観察研究を行った。 【方法】2013年7月から2015年7月までに原発性非小細胞肺癌と診断され放射線治療単独での治療方針となり、本試験に同意された症例を対象とした。放射線治療前の患者血漿を標準とし、放射線治療後に照射開始後1日後から照射終了1週間後にかけて継時的に採血を行い、血漿中の遊離DNAを単離した。第一に血漿中DNA総量を計測し、放射線照射後の変化を調べた。次に放射線治療後の腫瘍由来DNA測定のためdigital PCRを用いてEGFR変異を定量した。 【結果】登録症例は肺非小細胞の患者17例であり、肺に対する定位照射が11例(75Gy/25fr:4例、50Gy/4fr:7例)脳定位照射が7例(23Gy/1fr:5例、35Gy/3fr:1例)であった。放射線治療前の血漿中DNAの中央値は12.75 (0.09-10.0)ng/mlであり放射線治療後の血漿中DNAの中央値は62.4 (0.167-37)ng/mlと12/17症例で放射線治療後の血漿中遊離DNAの増加を確認した。登録症例のうち、EGFR変異陽性と診断された4症例(L858R 2例、exon 19 del. 2例)の遊離DNAに対してdigital PCRを用いてEGFR変異DNAの検出を行った結果、放射線治療後前にそれぞれ0/123/58/179 (copy/ml)であった血漿中のEGFR変異DNAが放射線治療後にそれぞれ29/1009/388/5896 (copy/μl)に増加した。 【考察】癌組織に対する放射線照射により血中の腫瘍由来DNAを2倍~30倍程度に増加させること可能であり、照射部位のgenotypeが非侵襲的に考察するという点でその後の治療法選択の有力なオプションとなり得る。
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