2015 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤耐性関連ABCトランスポーターに対するクルクミン誘導体の抑制効果の研究
Project/Area Number |
25861149
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 克昌 東北大学, 大学病院, 助教 (30607768)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗癌剤耐性 / ABCトランスポーター / クルクミン誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌に対する抗癌剤治療の問題として癌細胞の抗癌剤耐性能の獲得があり、その要因のひとつに抗癌剤耐性ABCトランスポーターの過剰発現がある。ABCトランスポーターはATP加水分解のエネルギーを使用し、抗癌剤を細胞内から細胞外へ排出する機能である。ABCトランスポーターの抑制剤の開発によって、癌の抗癌剤耐性を克服できる可能性があるが現在までに臨床応用可能な抑制剤は存在しない。クルクミンはカレーのスパイスであるターメリックの黄色色素で、ABCトランスポーター機能を抑制することが報告されている。クルクミンは難溶性で血中濃度が上昇しにくく臨床応用は困難であったが、東北大学大学院薬学研究科で新規に合成されたクルクミン誘導体が、クルクミンよりも低濃度で高い抗腫瘍効果を得ることが判明した。クルクミン誘導体がABCトランスポーター機能を抑制するかどうかは明らかでなく、本研究ではクルクミン誘導体のABCトランスポーターへの効果を明らかにし、臨床応用可能な抑制剤としての可能性を探ることを目的とした。 癌細胞に過剰発現しているABCB1, ABCG2を解析対象とし、それらを過剰発現させた癌細胞株(ABCB1: KB-V1, ABCG2: K562/BCRP)を用い実験した。まず、ABCトランスポーターに特異的な蛍光基質を用いて、クルクミン誘導体併用下での細胞内への取り込みの変化をFACS解析した。ABCB1, ABCG2発現株ともにクルクミン誘導体存在下において細胞内の蛍光基質の取り込みが増加しABCトランスポーター機能の抑制効果が示唆された。特にABCG2発現株ではより低濃度のクルクミン誘導体でも強い効果を示し、GO-Y030, 078,168,172という4種のクルクミン誘導体が有効であった。また、細胞毒性試験で抗癌剤の感受性の変化を検討し、ABCG2においてGO-Y078存在下で抗癌剤感受性が約20倍に上昇した。以上の結果より、クルクミン誘導体のABCトランスポーターに対する抑制剤としての可能性が示唆された
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