2013 Fiscal Year Research-status Report
圧迫性脊髄症増悪期における脳脊髄液バイオマーカーの同定
Project/Area Number |
25861346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 宏 東邦大学, 医学部, 助教 (80597047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | biomarker / compression myelopathy / cerebrospinal fluid |
Research Abstract |
本研究計画では、圧迫性脊髄症急性増悪期患者における髄液中各種蛋白の発現量を定量するため、研究材料として患者の髄液の採取が必要となる。圧迫性脊髄症患者においては通常手術の適応となるため、手術前に脊髄造影検査が必須となる。その際、髄液採取、髄液検査は必ず施行するため、その一部を研究材料として使用する。採取した髄液については、急性増悪群:直近の1ヵ月に日本整形外科学会頚髄症判定基準 (JOA Score) にて2点以上の悪化を認めた例、脊髄症群:急性増悪を認めない例、対照群:腰椎疾患に対して脊髄造影検査で髄液採取を行った症例の3群に分け、入院、脊髄造影検査の際に髄液採取を行い、下の方法で比較検討、特異的蛋白の同定を行う。脊髄症群、対照群は脊髄造影検査後、通常の治療方針と同様に早期に手術を施行し、治療に関して患者に不利益とならないようにする。また、髄液採取時、及び術後1年時に神経学的評価を行い、脊髄障害の程度、及び術後の改善率についても評価する。 平成25年度に関しては、急性増悪群8例、慢性悪化群6例、対照群37例の髄液を同意を得た後採取しえた。これに対して、まず軸索損傷を反映するphosphorylated neurofilament subunit NF-H (pNF-H)の定量を行った。すると、急性増悪群において、慢性悪化群、対照群に比し有意に高値を示し、pNF-Hは圧迫性頚髄症急性増悪期におけるバイオマーカーとなりうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体の採取は同意を得て順調に進んでいる。 また、軸索損傷を反映するphosphorylated neurofilament subunit NF-H (pNF-H)の定量を行った所、圧迫性頚髄症急性増悪群において、慢性悪化群、対照群に比し有意に高値を示し、脳脊髄液中pNF-Hは圧迫性頚髄症急性増悪期におけるバイオマーカーとなりうる可能性が示唆され、今後症例数を増やしてその有用性を実証できる可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
軸索損傷を反映するマーカーの発現量が圧迫性頚髄症急性増悪期において慢性悪化群、対照群(腰椎疾患手術群)に比し著明に増加している結果が今回得られた。 このため、今後は、圧迫性頚髄症病態解明という点でも、他のマーカーについての検討を計画している。具体的には、astrocyteの損傷を反映するS100β、髄鞘の損傷を反映するミエリン関連糖蛋白(MAG)やナルディライジンについて検討を行い、臨床成績(手術成績、改善率)との相関を検討し、どういったパターンの損傷においてどのような臨床病態をとるのかの傾向を探り、圧迫性頚髄症の病態、および回復の機序につき検討を重ねる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の目的の第一は、まず髄液の臨床検体の採取がある。これに関しては費用はかからないため、予算の使用額は抑えられた。また、今年度測定したpNF-Hの定量についての試薬、消耗品の費用も予定より抑えることができたため、本年度は予想より予算の使用を抑えることができた。 今後、今年度はその他に数種類のバイオマーカーとなりうる可能性のある蛋白の定量化を行う予定である。そのための試薬、消耗品は次年度主に購入する予定であり、今後かなりの費用がかかることが予想される。
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[Journal Article] Multicenter prospective nonrandomized controlled clinical trial to prove neurotherapeutic effects of granulocyte colony-stimulating factor for acute spinal cord injury.2014
Author(s)
Inada T, Takahashi H, Yamazaki M, Okawa A, Sakuma T, Kato K, Hashimoto M, Hayashi K, Furuya T, Fujiyoshi T, Kawabe J, Mannoji C, Miyashita T, Kadota R, Someya Y, Ikeda O, Hashimoto M, Suda K, Kajino T, Ueda H, Ito Y, Ueta T, Hanaoka H, Takahashi K, Koda M.
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Journal Title
Spine
Volume: 39
Pages: 213-219
Peer Reviewed
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