2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25861401
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
宮下 亮一 東京医科大学, 医学部, 助教 (30649281)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 敗血症性脳症 / 麻酔薬 / プロポフォール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、敗血症性脳症(Septic Encephalopathy:SE)の解明のために脳組織のミトコンドリアを直接 Target organの組織から抽出し、SEをミトコンドリアに焦点を置いた組織呼吸点から解析することで新規の脳保護法を確立することを目的としている。 平成25年度の脳内ミトコンドリア Ca2+取り込み能、ミトコンドリア膨化率の評価の結果をふまえて、麻酔薬のミトコンドリア呼吸鎖の評価を高感度ミトコンドリア酸素呼吸測定装置にてさらに詳細に評価した。ラットから脳ミトコンドリアを分離し、酸素消費量を測定した。ミトコンドリア呼吸鎖に作用する試薬を順次添加し、機能を解析することで鎮静薬の影響を検討した。結果として、ミダゾラム群、デクスメデトミジン群は高用量投与にもミトコンドリア呼吸鎖に影響を生じなかったが、プロポフォール群は濃度変化により有意に呼吸鎖を抑制した。高用量プロポフォールは、他鎮静薬と比較してもミトコンドリアの変化からミトコンドリア電子伝達系への関与が考えられた。この結果は日常に頻用されている鎮静薬プロポフォールは重症患者、特に脳疾患の使用においては警鐘を鳴らす結果であると示唆された。 敗血症モデルでのミトコンドリア呼吸鎖の各鎮静薬の影響は、現時点では実験の途中段階ではあるが、上記の結果を敗血症の脳保護麻酔薬ミトコンドリアに焦点をおき、平成27年度は解析を加え、敗血症脳症患者への最善の麻酔薬使用に展開したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度に行った脳内ミトコンドリアCa2+取り込み能、ミトコンドリア膨化率の検討結果の鎮静薬の評価をさらに詳細に展開したために、平成26年度分の予定実験計画に遅れが生じた。また、敗血症モデルの安定化と新たな実験系である高感度ミトコンドリア酸素呼吸測定装置の確立に予定より時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
確立された敗血症モデルを使用し、高感度ミトコンドリア酸素呼吸測定装置において、麻酔薬ならびに様々な薬剤の細胞保護作用もしくは細胞障害作用を、ミトコンドリア呼吸鎖の機能の観点から検証することが可能となった。当初の実験計画に加えて、平成27年度はその実験系を使用することで、敗血症性脳症に対する敗血症モデルでのミトコンドリア呼吸鎖の各鎮静薬の影響を解析し、敗血症性脳症のメカニズムに新しい解釈を加えることができると考えられる。
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Causes of Carryover |
実験計画がやや遅れていたために、予定していた国際学会及び国内学会の経費、論文作成の経費分の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究費は、物品費として、採血のための必要物品(シリンジ、採血針、採血用スピッツ等)、実験用器具(ガラス器具、 手術器具等)、薬品(試薬薬品および研究器材・消耗品)の購入に充てる。また、旅費としては、予定している国際学会および国内学会での発表時のものとする。その他、印刷費等に使用する。
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