2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト膀胱平滑筋弛緩メカニズムの解明と蓄尿障害に対する新規治療法への応用
Project/Area Number |
25861433
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小川 総一郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50554200)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Kチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
過活動膀胱は尿意切迫感を主症状とする症状症候群で、切迫性尿失禁、頻尿などの症状を高頻度に合併する。これらの症状は、患者の生活の質を著しく低下させるため、病態生理の解明とそれに基づく治療法の確立は臨床泌尿器科医にとって急務である。しかし、残念ながら現時点では未だ過活動膀胱の病態生理は完全に明らかにされているとはいい難い。これまでの動物実験から、蓄尿期における膀胱平滑筋の弛緩は専ら交感神経β受容体刺激により調節されていること、また、蓄尿期における膀胱の緊張維持にはRho-kinaseという酵素が関与していることも報告されている。本研究ではヒト膀胱標本を用い、ヒト膀胱平滑筋弛緩に対するβ受容体およびRho-kinaseの関与と機能的役割を詳細に検討するとともに、過活動膀胱などの蓄尿障害に対する新規治療法開発の可能性も検討することとした。 私たちの研究室ではこれまでに、ヒト膀胱組織を用いて平滑筋弛緩に関与する受容体サブタイプを明らかにした。さらに、ラット膀胱が完全に収縮した状態では、β受容体刺激によってcAMPに依存しない弛緩経路が働き膀胱が弛緩すること、そしてこの経路にはKチャネルが関与することも証明した。これらの実験手法をもとにして、ヒト膀胱におけるcAMP非依存性経路の存在とKチャネルの関与を評価し、創薬の可能性を追求することとした。 その結果、本研究から、β受容体を介するヒト膀胱平滑筋弛緩には、cAMP依存性経路、非依存性経路とも存在するが、ラット膀胱とは異なり、後者においてはKチャネルは関与していない可能性がある。ヒト膀胱組織を用いてのさらに詳細な解析が必要であると考えている。
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