2014 Fiscal Year Research-status Report
多価不飽和脂肪酸がヒト卵子の受精・胚発生能に及ぼす影響について
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25861502
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
銘苅 桂子 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (30444912)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生殖補助医療 / 多価不飽和脂肪酸 / 不妊症 / 体外受精・胚移植 / 食生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
晩婚化により初婚・初産年齢は高齢化の一途をたどり、不妊治療を要するカップルが急増しているが、食生活と不妊症の関連に関する情報はほとんどないのが現状である。n-3系多価不飽和脂肪酸は必須脂肪酸であり、生体内で合成されないにもかかわらず、それらを豊富に含む魚類の摂取量は若年者において年々低下している。特に沖縄県は肉食中心で魚類を食す頻度が低い点が特徴としてあげられる。本研究の目的は体外受精・胚移植(In vitro fertilization- transfer:IVF- ET)において卵胞液内の多価不飽和脂肪酸濃度と卵子や胚の質との関連について明らかにすることである。ヒト生殖現象における多価不飽和脂肪酸の意義を検討することにより、増加する不妊症の原因の一つが食生活にあることが明らかになれば、その意義は極めて大きいものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例の解析と学会発表は終了したが、論文作成に至っていない。論文作成にいたるには症例のさらなる追加と解析が必要だと考えているため、症例追加と論文作成のための時間が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
IVF-ET 施行例の血中脂肪酸濃度と卵胞液内脂肪酸濃度の比較では、卵胞液内脂肪酸濃度は血中脂肪酸濃度のおよそ1/3 の濃度であり、脂肪酸が消費されることで卵胞液内濃度の低下をきたしている可能性がある。また、リノール酸、アラキドン酸、リノレン酸、EPA、ドコサペンタエン酸、DHA においては未受精卵であったものより受精卵の得られた卵胞液で有意に低値であることから、これら脂肪酸は受精過程においてより多く消費され、重要な役割を果たしていることが推察される。今後は、受精と卵胞液内の脂肪酸濃度の関連に加え、受精卵の質、妊娠との関連を明らかにしていく。また、卵胞液中の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を含めた24 の脂肪酸を測定し、どの脂肪酸が最も胚の質と関連があるかについても明らかにする。その結果より脂肪酸摂取が卵子・胚の質、胚発生能、妊娠に影響を与えるかどうかについて明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
論文作成のため症例のさらなる追加と解析が必要であり、症例追加により実験器具と検査試薬のための使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
症例追加により実験器具と検査試薬の追加購入に使用予定である。また論文作成の際の英文校正料や投稿費用に使用する予定である。
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