2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25861621
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鴨居 功樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40451942)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HTLV-1ぶどう膜炎 / HTLV-1 / ぶどう膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1ぶどう膜炎の分子標的を検索するために、眼内組織にHTLV-1感染が及ぼす影響についての研究を行った。網膜色素上皮細胞は血液眼関門柵を形成する重要な眼内組織で、その位置や役割からHTLV-1ぶどう膜炎の発症に深く関与していると考えられるため、網膜色素上皮細胞にHTLV-1ウイルスが接触することで生じる炎症性変化を調べた。 HTLV-1感染細胞株と網膜色素上皮細胞を共培養しHTLV-1が網膜色素上皮細胞に接触することで惹起される炎症性変化について、共培養上清を回収して炎症性サイトカインおよびケモカイン産生を測定した。網膜色素上皮細胞とHTLV-1感染細胞が直接・間接接触することで、炎症性サイトカインIL-6、IL-8の産生が著しく上昇する一方、IL-10, TNF-α, IL-1β, IL-12p70, の変化はみられなかった。またケモカインでは、直接・間接接触においてMCP-1, RANTESの著名な産生がみられた。一方、IP-10は直接接触でのみ産生されることが明らかになった。 HTLV-1ウイルスが網膜色素上皮細胞と接触することによって、TNF-α, IL-1βの上昇はみられないが、IL-6 IL-8という特定の炎症性サイトカインが産生されることで、炎症惹起される可能性が考えられた。また抑制性サイトカインIL-10の産生を抑制することで炎症をより促進することが考えられた。さらにMCP-1, RANTESなどのケモカインの産生で、炎症を維持することが考えられた。以上により、HTLV-1ぶどう膜炎における眼内炎症惹起・維持機序の一端が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HTLV-1感染細胞と網膜色素細胞の培養条件や最適細胞数などを検討するために多くの時間を要した。条件を慎重に決定した後、HTLV-1ウイルスの網膜色素上皮細胞への接触によって産生される炎症性サイトカイン、ケモカインを測定したところ、特定のサイトカインやケモカインがHTLV-1ぶどう膜炎の発症機序に関与している可能性があることを明らかにすることができた。これらの結果によって、HTLV-1ぶどう膜炎治療における分子標的療法のターゲットを決定するためのデータの蓄積ができてきているため。
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Strategy for Future Research Activity |
HTLV-1ウイルスの網膜色素上皮細胞への接触によって産生される炎症性サイトカイン、ケモカインが明らかになってきたため、今後、サイトカイン、ケモカインのどれを標的にすることで、最も効率良く炎症が抑制できるか検討する。また、網膜色素上皮細胞以外の眼内組織についても、HTLV-1ウイルスとの接触によって起きる炎症性変化を比較検討し、眼内において最も抗炎症効果を示す分子標的の探索を行う。
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Causes of Carryover |
実験自体は順調に進んでいると考えるが、HTLV-1感染細胞の取り扱いに関わる実験室の整備と、細胞培養条件や感染条件などの検討に時間がかかり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記実験室の整備が整ったことと、様々な条件検討が終わっているため、HTLV-1ぶどう膜炎の分子標的のターゲットを決める実験を進めるため、HTLV-1が眼内組織に接触、感染することによるサイトカイン・ケモカインなどの測定を進める。さらに有効と考えられる分子を標的にした治療法の検討を行い、効果を検討する。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Comparison of the ocular characteristics of anterior uveitis caused by herpes simplex virus, varicella-zoster virus, and cytomegalovirus.2014
Author(s)
Hiroshi Takase, Reo Kubono, Yukiko Terada, Ayano Imai, Shoko Fukuda, Makoto Tomita, Masaru Miyanaga, Koju Kamoi, Sunao Sugita, Kazunori Miyata, Manabu Mochizuki.
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Journal Title
Jpn. J. Ophthalmol.
Volume: 58
Pages: 473-482
DOI
Peer Reviewed
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