2013 Fiscal Year Research-status Report
CD10化学シグナルとRho力学シグナルによる脂肪幹細胞の多能性維持機構の解明
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25861676
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青柳 靖之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (30569562)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / CD10 / エズリン / モエシン |
Research Abstract |
CD10のASC、ccdPAにおける機能解析を行うにあたって、分化能等の検討にはある程度長期間の細胞培養が必要であるため、持続的なCD10のノックダウンを行うことが可能なレンチウイルスベクターによるshRNA導入系を確立することとした。5つの候補shRNA配列とpuromycin耐性遺伝子を搭載するレンチウイルスベクターを作製し、ASC、ccdPAに遺伝子導入した。それぞれの細胞におけるCD10 mRNA発現を定量PCR法により測定し、同時に、CD10の産生量をフローサイトメトリー、細胞抽出液を用いたウェスタンブロット法により評価した。5種類の候補shRNA配列のうち、効率良くCD10の発現を抑制するshRNA配列を見出すことができた。他方、CD10発現レンチウイルスベクターの構築を行った。野生型のCD10については発現が確認できたが、既報を基に構築した膜貫通ドメインを欠失したコンストラクトは、細胞外への分泌が確認されなかった。 これらの解析を通じて、CD10のmRNA量、タンパク量の評価が可能となった。 CD10をノックダウンしたASC、ccdPAについてエズリン/ラディキシン/モエシン(ERM)のmRNA発現を定量したところ、少なくともエズリン、モエシンの遺伝子発現がCD10のノックダウンによって変化を受けることが分かった。 また、CD10のノックダウンされたccdPAでは、脂肪分化能が低下しており、CD10が脂肪分化において重要な役割を果たす可能性が示唆された。一方、ASC、ccdPAともにCD10のノックダウンにより増殖能は検討した範囲ではあまり影響を受けなかった。 上記の解析から、CD10のノックダウンにより、ERMの発現変化と脂肪分化能の低下が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既報に基づき、膜貫通ドメインを欠失した変異型CD10を構築したが、細胞外への効率的な分泌が確認されなかった。この結果を除いては、ほぼ当初の計画通り推進できたと考えられる。しかしながら、この変異型CD10は研究遂行のために必須なコンストラクトであるため、シグナルペプチドなどを再考し、速やかに効率的に分泌できるコンストラクトを作製する必要がある。また、CD10のノックダウン細胞の増殖性については、評価する培地の選択が重要である可能性が考えられるため、増殖性に関する追加検討をする必要があると考えている。また、ノックダウン細胞におけるCD10量低下では増殖には影響を及ぼさない可能性も考慮すべきである。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度の研究結果、CD10の発現変化とERMの発現が連動していることが明確になりつつあり、本研究の推進方針に変更は生じない。特にCD10のノックダウンにより分化能に影響が見られることから、申請者らが確立している3次元培養での脂肪分化能評価システムを応用した評価を進める。 これまで得られている結果は1ドナーからの細胞による結果であるため、今後複数のドナーからの細胞について、ASCとともに評価し、再現性を検討する。 このように、CD10からの化学的シグナルが脂肪分化能を修飾する可能性が見出されたことから、H26年度はその下流因子であるERMの同定を行い、その機能が他方の力学的シグナル(Rhoからのシグナル)の修飾を受けるかどうかを中心として検討を進める。
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