2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト爪組織の細胞学的特性の研究~ヒト爪再生を目指して~
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25861680
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宇佐美 聡 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (10635577)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 爪ケラチノサイト / 硬ケラチン / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究において多指(趾)症患者からの組織を用いたヒト爪ケラチノサイトの分離、初代培養および継代培養の手技は確立した。本年度はヒト爪ケラチノサイトの細胞学的特性の研究を行い、各種刺激因子の作用効果および産生する硬ケラチンとの関係について調べた。まず各種刺激因子の作用を比べるため、同一個体より採取した皮膚と爪ケラチノサイトにbFGF(1, 10, 100ng/ml)、EGF(1, 10, 100ng/ml)、VitaminD(5, 50, 500ng/ml)を加えて細胞増殖への影響を比較した。また、爪ケラチノサイトを単層培養し、CK31抗体を用いて各種刺激因子の硬ケラチン産生への影響を比較した。またケラチノサイトが産生する細胞培養液中の細胞接着因子(フィブロネクチン、ラミニン)の濃度を測定した。皮膚および爪ケラチノサイトの増殖曲線では、継代数に関わらず共に2×10^4~5×10^4cell/cm2の細胞濃度で対数増殖期が認められた。各種刺激因子の影響としてはcontrol群と比較してbFGFは高濃度で増殖を抑制したが、低濃度~中濃度では増殖を促進させた。EGFはすべての濃度で増殖作用を認め、VitaminDは濃度依存性に細胞増殖を抑制した。単層培養における硬ケラチン産生はVitaminD添加群で最も多く、bFGF、EGFは濃度依存性に産生量を増加させた。EGFを添加することで多量のフィブロネクチン産生を認めたが、ラミニン産生に関しては各種因子で大きな差はなかった。増殖した細胞の形態を観察すると、VitaminD添加群では角化と共に核及び細胞自体が大型化する傾向にあった。また、bFGFとEGFの作用の差は本研究では判明しなかったが、共に高濃度で細胞形態を角化・変化させる傾向があり、細胞増殖用の目的としては共に低用量(0.1~5ng/ml)での使用が望ましいと考えられた。
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