2014 Fiscal Year Annual Research Report
黄色ブドウ球菌の口腔内定着を阻害する新規口腔由来抗菌因子の探索
Project/Area Number |
25861749
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松尾 美樹 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (20527048)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 抗菌性因子 / 口腔内定着 / 二成分制御系 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度はH25年度に分離した黄色ブドウ球菌に対し抗菌作用を持つ口腔レンサ球菌の同定ならびに機能解析を行った。H25年度に黄色ブドウ球菌に抗菌作用を持つ菌としてStreptococcus sanguinisが同定されていたが、新たにStreptococcus parasanguinis も黄色ブドウ球菌に対し抗菌作用を持つことが明らかになった。過去の文献等から、S. sanguinis は過酸化水素を産生することが考えられたため、S. sanguinis を好気(過酸化水素産生可能条件)、嫌気(過酸化水素産生不可能条件)下にて各々培養し、黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用を検証した。その結果、嫌気下では黄色ブドウ球菌に対するS. sanguinisの抗菌効果は認められなかった。このことから、S. sanguinis の黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果は過酸化水素であることが示唆された。また、S. parasanguinisは、S.sanguinis と遺伝子学的派生が近いため同様の抗菌作用を持つことが考え、抗菌効果の検証を行った。その結果、S. sanguinis同様S. parasanguinisも好気下でのみ抗菌活性を認めた。このことから、S. sanguinis, S. parasanguinisは共に過酸化水素により、黄色ブドウ球菌の口腔内定着を阻害していることが示唆された。 さらに、黄色ブドウ球菌が分離された被験者10名、非分離被験者10名の計20名から唾液を分離し、定量性PCR法にてS. sanguinis ならびにS. parasanguinisの定量を行った。その結果、S. parasangunisの菌量は黄色ブドウ球菌と生の相関関係にあったが、S. sanguinisの菌量と黄色ブドウ球菌の検出率との間に相関関係は認められなかった。一方、黄色ブドウ球菌の持つ二成分制御系因子の一つが、S. sanguinisが産生する過酸化水素に対し耐性を示すことを明らかにした。
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