2013 Fiscal Year Research-status Report
根面齲蝕原因菌Actinomycesへのフッ化物作用機序の解明とその応用法の確立
Project/Area Number |
25861783
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川嶋 順子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50633707)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Actinomyces / Fluoride / 根面齲蝕 / 糖代謝 / 重炭酸 / 歯学 |
Research Abstract |
デンタルプラーク中でStreptococcusに次いで多いActinomycesは根面齲蝕の原因菌として注目され、現在の日本で増加傾向にある根面齲蝕を予防する上でのターゲットとなる細菌である。齲蝕は口腔細菌が糖代謝によって産生する酸により発症することが知られており、Actinomycesも糖を代謝し酸を産生するがその代謝経路はStreptococcusとは大きく異なる。また、齲蝕予防剤としてフッ化物が利用されているが、Actinomycesの酸産生活性はStreptococcusに較べフッ化物に対して耐性がある上、その阻害メカニズムは不明である。本研究では、口腔Actinomycesに対するフッ化物による酸産生抑制メカニズムを解明し、齲蝕予防、とりわけ根面齲蝕への効果的なフッ化物応用法を検討・提案することを目的とする。 本年度は、口腔ActinomycesおよびStreptococcusを使用し、各菌種の酸産生量およびフッ化物による酸産生抑制効果、また、様々な培養条件における増殖抑制・増殖促進傾向について、嫌気グローブボックス内の高度嫌気条件下、同一条件で比較・検討した。唾液構成成分である重炭酸は、Actinomycesの増殖と酸産生を促進することが知られており、重炭酸存在下では、Streptococcusとは異なり、Actinomycesのフッ化物耐性が増強されることが確認された。さらに、Actinomycesがクエン酸回路を持つことから、酸産生基質としてのアミノ酸に着目し、アミノ酸を含む窒素源がActinomycesの糖代謝・酸産生に及ぼす影響を検討した。これらの結果については、学術雑誌(Microbiology and Immunology)および、第55回歯科基礎医学会・総会、第5回インターフェイス口腔健康科学国際シンポジウムにて発表済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに進捗しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られた酸産生反応液を利用し、最終糖代謝産物の分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に予定していた研究が概ね順調に進み、予定よりも短期間で結果が得られたため。 次年度に使用予定の有機酸分析機器のメインテナンス費や使用する試薬が高価なため、そちらの経費に使用する予定である。
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