2014 Fiscal Year Research-status Report
光干渉断層画像装置による根管観察および象牙質切削に関する検討
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25861790
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉岡 俊彦 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (10635543)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | OCT / 歯内療法 / 根管治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、内部に根管もしくは歯髄腔を有する歯冠部象牙質を光干渉断層装置(OCT)で観察する。根管治療時の髄腔開拡は、歯軸の方向やレントゲン写真上での歯髄腔の位置を参考にしながら行われる。しかし、歯髄腔の狭窄や歯軸の頬舌的な傾斜等により歯髄腔の三次元的な方向の把握が困難な症例に遭遇することがある。髄腔開拡を誤った方向に進めてしまった場合に穿孔が起きてしまう恐れがある。髄腔開拡時の穿孔は歯頸部付近に起きることが多く、その場合の予後は特に悪く、抜歯に至る可能性がある。また、歯髄に近接するう蝕治療の際、歯髄保存の成否は露髄の有無に大きく左右される。事前にう蝕除去による露髄が予測される場合には非侵襲性歯髄覆罩(AIPC)を選択することも可能となる。また、生活歯における支台歯形成の際には歯髄腔までの距離が十分に確保できていることが予後を左右する。しかしながら術中に歯髄腔までの象牙質の厚みを把握することは困難で、偶発的に露髄し、抜髄が適応となる症例もある。 研究では、ヒト抜去下顎大臼歯10歯を用い、最大豊隆部で歯冠を切断し、切断面から髄角までの距離をMicro CT, CBCT, OCTを用いて計測した (SL, CL, OL)。SLをGold Standardとし, SL, OL, CLの3者間の相関関係を解析した。SL 2.33mm以下では、OCTで髄角を検出できた。SLとOL, SLとCL,CLとOLはそれぞれ強い正の相関関係を認めた (r =0.96, 0.87, 0.86)。残存象牙質が2.33mm以下の場合、OCTで髄腔の位置を把握できる可能性がある。またOCTとCBCT画像による計測値が正の相関関係にあることから、それぞれを複合させた画像診断により臨床的な非破壊検査に応用できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、残存象牙質の厚みが2.33mm以下の場合に、象牙質内部の歯髄腔をOCTで検出できる可能性が判明した。これにより、う蝕処置や根管治療の際に、被曝せずにリアルタイムで歯髄腔の位置を把握することが可能となり、過剰な歯質切削や抜髄を避けられる可能性が示唆された。本年度の研究報告として、国際学会では4報、国際論文では1編を発表した。昨年に引き続き、さらに研究内容を深めることができた。またそれを国外で発表することにより、OCTの歯科領域での有用性、特に歯内領域における根管探索や象牙質内部の歯髄腔検出時の有用性を報告することができた。従って、本研究課題である、OCTを用いた根管観察および象牙質切削に関する検討に対しておおむね順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、引き続き当初の申請通り以下の検討を行う。実験には髄腔開拡モデルとしてヒト抜去下顎前歯30 本を、根管探索モデルとして上顎大臼歯30本を用いる。被験歯は修復がなされていないものと1 級修復がなされているもので明らかな実質欠損が無いものを選ぶ。 ①被験歯をマイクロX 線CT にて撮像を行う。 ②下顎前歯は歯髄腔までの距離が1 ㎜程度になるように歯冠を歯軸に垂直に切断する。 ③上顎大臼歯は通法通り髄腔開拡・天蓋除去を行う。 OCT 群:OCT で象牙質および歯髄腔や根管を観察しながら、ダイヤモンドポイント・超音波チップ・レーザー照射チップを用いて、象牙質の切削を行う。肉眼群:肉眼で象牙質を観察しながら、ダイヤモンドポイント・超音波チップ・レーザー照射チップを用いて、象牙質の切削を行う。歯科用実体顕微鏡群:歯科用実体顕微鏡で象牙質を観察しながら、ダイヤモンドポイント・超音波チップ・レーザー照射チップを用いて、象牙質の切削を行う。すべての群で下顎前歯は露髄するまで、上顎大臼歯は近心頬側第2 根管の有無の判定をするまで切削を行う。 ④各群の切削後にマイクロCT 撮影を行い、切削方向・切削量・穿孔の有無の評価を行い、近心頬側第2 根管の有無の判定の正確さも含めて、各群間の比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究はおおむね計画通りに進行したが、成果発表や論文の作成が予定より遅れてしまったために、未使用金額が発生してしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
三次元解析ソフトの更新料、追加実験のための消耗品、成果発表および論文の校正、別刷り、投稿料に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)