2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒト神経障害性疼痛に神経炎症はあるのか?-in vivo神経イメージングでの検討
Project/Area Number |
25861921
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 下歯槽神経 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は以前より所属分野と新潟大学統合脳機能研究センターとの共同で開発した高磁場MRI装置(3テスラ)による神経選択的3次元高分解能画像により可能となった三叉神経領域の末梢神経の描出を臨床MRI装置(1.5テスラ)でも可能にするため、正常被験者による撮像パラメータの最適化を行った。その結果、3テスラのMRI装置と同程度の分解能で三叉神経領域の末梢神経の描出が可能となった。本年度は口腔顔面領域の神経損傷では最も頻度の高い下歯槽神経に着目し、下歯槽神経の微細な画像の精密かつ明確な描出のため、通常は頭頚部コイルで行っていた撮像を表面コイルを使用して撮像を行った。表面コイルを使用することで体表表面付近からの信号を効率よく検出し、感度が高くなり分解能が向上する。下顎孔からオトガイ孔までの下歯槽神経が描出できるような位置に表面コイルを皮膚に接触させ、ずれないようにテープで固定した状態で撮像した。その結果、頭頚部コイルを使用した画像と比較して表面コイルを使用した画像の方がより高い分解能で下歯槽神経を描出することが可能であった。これは昨年度に撮像パラメータの最適化を行ったT2強調画像の神経選択的3次元高分解能画像でも同様な結果が得られた。この結果から、下歯槽神経の微細な画像の描出が可能となり、その画像を利用して精密な画像解析を行うことができることが示唆された。さらにその画像解析によって、今後ヒトで非侵襲的に下歯槽神経損傷による神経障害性疼痛と神経炎症との関連が検証できる可能性があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はT1強調画像の神経選択的3次元高分解能画像とT2強調画像の神経選択的3次元高分解能画像を比較することで損傷した下歯槽神経の体積変化を検討する予定であったが、2つの画像の重ね合わせの正確性が十分ではなく、重ね合わせの方法を検討中である。 また、患側と健側の下歯槽神経におけるT2緩和時間の比較も行う予定であり、既存のフリーソフトを用いて行う予定であったが、正確な計測ができなかったためMRI画像解析ソフトウェアを購入しセットアップ中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は正常被験者を対象としてT1強調画像の下歯槽神経画像とT2強調画像の下歯槽神経画像を撮影し、2つの画像の重ね合わせの方法を確立する。その後患者を対象とした画像でその方法を適用し損傷した下歯槽神経の体積変化を検討する。 また、購入したMRI画像解析ソフトウェアを用いてT2緩和時間を測定し、患側と健側の下歯槽神経におけるT2緩和時間の比較を行う。 さらに、造影剤を使用せずに血流の可視化を行う手法であるMRアンギオグラフィーで、3D-TOF(time of flight)シークエンスを下歯槽神経血管束に応用する。
|
Causes of Carryover |
本年度はMRI画像解析ソフトウェアを購入したが、予定よりも安価で購入できた。また、正常被験者が予定よりも集まらなかったため、正常被験者への謝金が予定よりも少額となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は学会発表や資料収集のための旅費、正常被験者への謝金、MRI使用料、論文に係わる費用(投稿料や校閲料)等を計上する。
|