2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌における脱アセチル化酵素SIRT1発現の細胞生物学的意義の検討
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25861990
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
野口 映 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (10456395)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 口腔癌 / 扁平上皮癌 / ヒストン脱アセチル化酵素 / HDAC / SIRT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)SIRT1は以前より臓器(組織)特異的なbehaviorを示すことが知られている。今年度は胃腺癌557症例を対象とし、SIRT1の発現を免疫組織化学、あるいはウエスタンブロット法にて評価した。加えて、そのnegative regulatorとして知られているDBC1の発現、ヒストンのアセチル化状態,臨床病理学的因子との関係を比較検討した。結果、SIRT1の発現は61.9%の症例においてみられ、リンパ節転移、脈管侵襲、病理学的病期と正の相関を示した。生命予後との検討では、DBC1陰性かつ、SIRT1高発現症例は有意な予後不良因子であった。これらは、以前に報告した頭頚部扁平上皮癌症例における検討とはcontroversialな結果であった。つまり、SIRT1は腺癌と扁平上皮癌では全く異なる役割を果たしているのではないかと推察された。
2)口腔扁平上皮癌由来の細胞株HSC2、KOSC2においてRNA干渉法によりSIRT1の発現を抑制し、上皮細胞の分化、およびstemness維持に関する遺伝子の発現の変動を検討した。その結果、SIRT1の発現を抑制することにより、p53と結合してBaxを誘導するとされるTAp63の発現が低下することを見いだした。興味深いことに、同アイソフォームであるΔNp63(p40)では変化が見られなかった。p63は扁平上皮の分化・形成に必須の蛋白であり、SIRT1はp63を介した機序により癌の悪性度に寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度よりSIRT1安定発現細胞株の作成に取り組んでいるが、樹立することができていない。今年度はテトラサイクリン依存性のTET-ONシステムを用いた実験を行ったが、それ以外の方法を含め、検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定された計画に基づき、実験の遂行を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定した実験が計画変更により、本年度の予定となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
順次、予定した試薬を購入予定である。
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Research Products
(1 results)