2015 Fiscal Year Annual Research Report
周術期食道がん患者の回復過程と経時的栄養評価の検証
Project/Area Number |
25862136
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
下田 智子 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (60576180)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 看護学 / 食道癌 / 周術期看護 / 経口摂取 / 栄養管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食道がん患者の周術期栄養管理において、経口摂取および経腸栄養、静脈栄養による栄養評価のモニタリングを行い、患者個々の活動量を含めた回復過程(身体状況および生活行動)と経時的栄養評価の関連を検証することを目的とした。 経口摂取を主とした栄養管理のモニタリングについて、事例検討した結果、術式(胸壁前再建術)が影響を及ぼす可能性があることが明らかとなった。これは、手術により患者が用手圧迫法の取得やボディイメージの変化の影響を受けることが要因のひとつである。また、体組成による栄養評価は、BMIが高値の場合、低値の場合と比較して、骨格筋量および脂肪量は、術後有意に低下した。一方で、術後合併症の増加や入院期間の延長、看護必要度との関連は認められなかった。したがって、肥満を有する食道癌患者においても、通常の周術期栄養管理を行う臨床実践の現状を支持する結果となった。 患者の経口摂取および経腸栄養、静脈栄養による栄養管理のモニタリングと術後の離床について検討した。その結果、術後の経過とともに離床が進み、定期的なリハビリテーションを継続できる患者は、術後体重は減少するが、骨格筋量が維持できることを明らかにした。術後回復は、身体的側面、身体生理的側面、精神的側面、社会的側面、経済的側面を含むものである。これらの回復過程の評価においては、主治医や看護師等の医療従事者間でも多少観点が異なり、患者自身のとらえ方がさまざまであると報告されている。医療者側は身体的な治癒が得られれば「回復」と認識しがちだが、患者は「症状がなく、術前に可能だった日常生活ができるようになること」を「回復」として期待している。本結果では、離床の支援やリハビリテーションを伴う身体的側面からの栄養評価を検討できた。今後、患者満足を伴った身体的回復を促進するための支援を検討してゆくことが必要であると考える。
|
Research Products
(5 results)