2013 Fiscal Year Research-status Report
集中治療室入室患者の危険行動に関係する要因の研究-リスクマネジメントと現場教育-
Project/Area Number |
25862163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
及川 洋 群馬パース大学, 保健科学部, 非常勤講師 (30616701)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 集中治療室 / 気分・感情状態 / 周手術期 |
Research Abstract |
手術後にICUへ入室する予定の患者を対象とし、日本版POMS(Profile of Mood States)短縮版で患者の気分・感情状態を測定した。年齢や性別等の一般的な患者状態については電子カルテや診療録から情報を得た。また、アイゼンクや矢田部・ギルフォード検査を基にした質問票で患者の性格型を外向型と内向型の2群に分類した。平成25年度は6名の患者からデータ収集が行えたため、昨年度以前に収集したデータと統合し、現時点での傾向を把握するため解析を行った。 本研究に同意の得られた36名のデータを解析対象としたところ、ストレス対処が苦手とされる内向型が13名、ストレス対処能力に長けているとされる外向型は23名であった。そのうちICU入室中に危険行動が発現した患者は11名であった。日本版POMS短縮版の平均得点と性格型の関係を以下に示す。 【T-A】:外向型群47.6、内向型群58.7、【D】:外向型44.4、内向型55.3、【A】:外向型39.7、内向型41.5、【V】外向型41.1、内向型35.7、【F】:外向型40.6、内向型46.5、【C】:外向型46.4、内向型58.4となった。 内向型患者はやはり術前からの「T-A:緊張および不安感」「D:自信喪失感を伴った抑うつ感」「F:意欲や活力の低下・疲労感」「C:思考力低下・当惑」の得点が高く、精神的に不安定なまま手術に臨んでいる傾向が伺えたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究フィールドである集中治療室が増床工事を開始し、研究対象となる患者の入室数制限やベッド配置の変更があった。また、集中治療室内の看護師配置や新人看護師の割合に偏りが生じたことで、研究フィールドとしての条件が安定しなかったことからデータ収集を見合わせていた時期があった。 また、ベッドサイドでのアンケート調査は基本的に手術前日に行うことから、下剤服用等の術前処置と重なり、アンケート調査ができない場合があった。そのため、患者が落ち着いてアンケートに臨めるよう、訪室する時間帯を調整することで6名の患者から情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究フィールドの増床工事は終了し、患者入室数や集中治療室内部の看護師配置数は安定した。計画通りに解析対象患者を目標数の50名まで増やし、POMS得点及び一般的な患者状態と危険行動の関係性をクロス集計にて明らかにする。そして危険行動発現割合において有意差が見られた各因子を説明変数、危険行動の有無を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行いオッズ比を抽出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の理由により、科研費を使用しなかった。 平成25年度に購入予定であった物品や書籍については、勤務部署での役割遂行上の理由で貸与されたり、勤務先が大学病院という特色から付属図書館において医学専門書の古書を割安で購入することができた。 また、学会及び教育講演に参加するための旅費についても、教育担当者としての役割上の理由から職場より出張費の助成があった。 平成26年11月29~30日に日本看護科学学会での研究発表を予定している。職場の予算及び財政事情が変化しているため、今年度は科研費で参加する。 また、研究結果を臨床現場での教育に活かすことも計画しており、昨年度購入できなかったカメラやプリンターを買い揃え、ポスター類やマニュアル作成の準備をする必要がある。
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