2016 Fiscal Year Annual Research Report
A population approach to the study of a childrearer's psychological tendencies for abuse
Project/Area Number |
25862212
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
寺井 孝弘 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (20595326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 虐待予防 / 養育者 / 心理 / 尺度 / ポピュレーションアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では虐待に陥りやすい養育者の心理傾向を明らかにすることを目的としている。そのために、虐待者の心理行動的特徴の集約(項目リストの集約)を行い、これらの特徴と一般的な親の特徴の合致と差違を検討(尺度項目の検討)という手順を追って研究を進めた。 虐待を行った者と関わった経験の豊富な専門家への調査で集約した「虐待に陥った親の心理的特徴リスト(37項目)」を用いて、全国の乳幼児をもつ養育者1001名を研究対象者として調査を実施して、370名の有効回答を得た。その後、探索的因子分析(主因子法、promax回転)を行い、十分な因子負荷量(.350)を示さなかった3項目を削除し、【見捨てられ不安(9項目、α=.899)】、【自己調整困難(13項目、α=.868)】、【猜疑心(5項目、α=.832)】、【完璧主義(7項目、α=.793)】の4因子構造が妥当であると考えた。虐待へのポピュレーションアプローチを行っていく際には、養育者の「相手の顔色をうかがう」様子や「嫌われないよう自分のイメージに気を配っている」という【見捨てられ不安】を想起させる様子や「問題解決は後回しにする」や「指示してくれる人がいないと不安になる」ような【自己調整困難】な様子、「他者に頼ることができない」や「他者を信用することができない」という【猜疑心】、「自分が正しいと考えていることは押し通す」や「他者に細かく指示する」という【完璧主義】に注目していくことが必要であると示唆された。 これらの項目内容は、保健師や看護師という一般の人々と関わる機会の多い職種が、虐待のリスクを察知していく基盤となる知識であり、特に新人の教育プログラムへの活用が期待される。
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