2014 Fiscal Year Research-status Report
スマートシュリンクによる低炭素型都市への転換に関する地理学的研究
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25870086
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 耕市 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20372716)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低炭素化 / スマートシュリンク / 建築物ストック / 都市交通 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目的は、地理学的視点から、スマートシュリンク(都市空間の計画的な縮小)による大都市の低炭素化の転換モデルを構築することにある。そのために、本研究課題では、(1)都市計画区域の統合がCO2排出量にいかなる影響をもたらすかを明らかにして、(2)CO2排出量削減を可能とする適切な都市計画区域の規模について検証する。 前者については、都市圏を細分化していた都市計画区域が広域統合されることによる、都市圏の総CO2排出量の変化を、建築物ストックや緑地等の土地利用変化から明らかにする。後者については、都市計画運用に支障が生じないことを前提とする、CO2排出量削減を実現できる都市計画区域の現実解を模索する。 平成26年度は前年度から引き続き、都市計画区域を大規模に統合・再編した大阪府を対象地域として調査・分析を進めた。GIS(地理情報システム)を援用しつつ、住宅地図や土地利用データ、空中写真等をもとに、マクロスケールからみた都市空間の変化について定量的に測定した。これらの分析結果を踏まえて、都心から郊外にかけて複数の事例対象地域を抽出して、現地調査に基づくミクロスケールの分析を行った。大阪市の都心再開発地域に伴う都心空間利用の変化と、郊外地域における都市的土地利用の変化に着目して、CO2排出源となる建築物ストック、吸収源となる緑地の分布変化などについて測定した。また、CO2排出量の抑制や持続可能な社会を支えるために欠かせない交通システムに関して、沿線地域に与える影響について考察を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、マクロスケールに基づく都市空間変化の分析の深化と、事例対象地域を抽出してのミクロスケールからみた都市空間利用の調査・分析について、ほぼ予定通りに進めることができた。具体的な作業としては、GIS(地理情報システム)を援用しての都市空間変化の定量的な測定に加えて、都心から郊外にかけての複数の事例対象地域におけるCO2排出源となる建築物ストック、吸収源となる緑地の分布変化などについて、ミクロスケールの視点から分析を施した。これらの成果をもとに、次年度も計画通り、現地調査を進めるとともに、研究のまとめを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に進めてきた現地調査を継続する。それと並行して、新たに入手した新しい住宅地図データを利用して、マクロスケールに基づく都市空間変化の定量的分析を更新する。そして、マクロスケールからみた分析と、ミクロスケールに基づく考察結果を組み合わせることによって、研究のまとめを行う。最終的には、CO2排出量削減を可能とする適切な都市計画区域の規模について検証する。また、都市計画区域の再編成に伴う都市計画運用や土地利用規制への影響や課題についても検討を加える。
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