2015 Fiscal Year Annual Research Report
スマートシュリンクによる低炭素型都市への転換に関する地理学的研究
Project/Area Number |
25870086
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 耕市 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20372716)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低炭素化 / スマートシュリンク / 建築物ストック / 都市交通 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
都市の低炭素化を促進するためには、中心部から周辺部への都市交通体系の整備が非常に肝要であることはこれまでの研究で明らかであるが、2014年にシンガポールで低炭素化を促進する都市交通整備体系化プランのSmart Mobility 2030が発表された。最先端技術のITSを活用したMRTおよびバス等の公共交通を基盤とする都市計画マスタープランであり、特定のMRTの駅周辺に生活関連施設や住居を集中させる多核心型のコンパクト・シティを強力に推進させる施策である。今後も人口増加が見込まれる点で日本とは違いはあるものの、施設や人口を特定の拠点に誘導集積させる点、それらの拠点の交通アクセシビリティを改善させる点、ITSを活用するスマートシティの実現を試みる点が、都市のスマートシュリンクに共通するため、シンガポールを第二の事例対象地域として取り上げた。 計画に基づいて、駅ごとに測定したポテンシャル・アクセシビリティの変化と、移動時間からみた都心へのアクセス可能人口の変化を推計した。これらによって、多核心型のコンパクト・シティの効果を検討した。駅から1kmの推計人口を吸引力変数とし、移動時間を地点間距離として重力モデル型のアクセシビリティを測定した。 分析の結果、CBDの近郊・郊外において、新路線が結ばれる結節点周辺でのポテンシャル・アクセシビリティの向上が散見された。これらの駅は、いわゆる多核心型コンパクト・シティの核であり、周辺地域から多くの人口がアクセスしやすい拠点としての役割を果たせると評価できる。 合わせて、シンガポール国内全域の各MRT駅からCBDへのアクセシビリティも大きく改善された。郊外の複数の核心駅周辺に人口を集積させて、それらから都心への交通網を整備させることにより、住民のスムーズな移動行動を担保できることを明らかにした。
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